短編置場

□ヤキモチ。
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俺だけを、見て。
俺だけに、笑って。
俺の事だけ、考えてよ。

なぁ…………。




[ヤキモチ。]






ぽかぽかとした陽の光が、自分の体に降り注ぐ。
柔らかな風によって運ばれる、草木の香りが嗅覚を微かに刺激する。
「…………。」
あまりの陽気と穏やかさとは裏腹に、ゼロスの心は暗く、荒れていた。

神託の村、イセリア。
かつてディザイアン襲撃の元凶として、この場所で育ったロイドとジーニアスの二人を追放した村。
だが先程、その問題は解決した。

その問題解決のきっかけを作った人物が、今ロイドと二人で何やら会話をしている。

「…ゼロス、睨み過ぎだってば。」
その言葉に、視線を注いでいた場所から目線だけを移動させる。
見てみれば、ついさっき村人たちに受け入れてもらったハーフエルフの少年が、呆れたようにこちら
を見ていた。
「……何の話だ?がきんちょ。」
と、一応とぼけてはみるが、はっきり言って無意味だという事は分かっている。
ただ、それで会話が終わるならそれで終わって欲しいという願望。

今は誰とも会話をする気になんてなれない。
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