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□拘束@
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がたり、と椅子が鳴った。
両手を、椅子の背を挟んで後ろ手に縛られているせいで身動きが取れない。
縛っている道具がネクタイなのが、悪趣味だった。
「っ…!」
唇を奪われる。
それは決して優しいものなどではなく。
「っ、ふ…っん」
息ができない。
塞がれた口の中で更に舌で追い詰められて、苦しさに涙が滲んだ。
舌と舌の交わる感触が気持ち悪い。
「(窒息…っする…っ)ん…ッ…!」
もう保たない、そう思ったところで、突然解放された。
「ッはぁ…っ…」
酸素を欲して、息を次ぐ。
「っ…ッは、ぁ…っ、はぁ…っ」
「ああゴメンね?君があんまり可愛いものだからさぁ」
「ふざ…っける、な…」
「くく…そう、そういう君の苦しそうな表情(カオ)があんまり可愛いもんだから……ゾクゾクするんだよ」
ぺろりと唇を舐めて、愉しげに俺を見下ろすその顔が、酷く不快だった。
 

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