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□経一ハピバ!
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「今日が何の日か覚えてないとかぬかしやがるだろうから先手打って教えてやる。今日は!俺の!誕生日だ!」

「もしもし用務員室ですか」

「聞けよ!」

「うるさいなぁ…そんなことを言うためにわざわざ校内に入ってきたのか?」

「うっ、うるさいって何だよ!誕生日なんだぞ!?さすがの俺でも泣くぞ?!いい加減!」

「…」

「そのうわぁって顔やめろ!せめて言葉にしろ!」

「鈍に祝ってもらえばいいだろう」

「俺はっ!お前にも祝ってもらいたいのっ!」

途端にみるみる派出須の顔が赤くなっていく。
「なっ、ば、馬鹿じゃないのか、子どもじゃあるまいし…」

「何?!子どもだったら祝ってもらえんのか?!待ってろ今ひとっぱしり行ってそんな病ぶっ!」
顔に勢いよく何かがぶつかってきた。
「…?」
ころりと落ちたそれを手のひらで受け止めると、それは赤と黄色のチェックの包装紙でラッピングされた、薄い小さな箱だった。
顔を上げると、頬を染めた派出須が気恥ずかしそうに腕組みをしながらそっぽを向いている。
「馬鹿なこと言ってないで、それ持ってとっとと帰れ」

「…いっ」

「?」

「逸人ぉおおおおお!」
叫びながら経一ががばりと派出須に抱き付いた。
「うわっ、やめろ!離せ経一!」

「大好きだぜ逸人!」

「!!…い」

「い?」

「いいから気が済んだらとっとと出ていけ!この馬鹿っ!!」
湯気が上がりそうなほど真っ赤になった派出須に、経一は思い切り保健室から蹴り出された。
「ンだよ照れんなよ素直じゃねぇなー!」

「違う!帰れ!馬鹿!」

「わーったよツレねーなー。お前の誕生日しこたま祝ってやるから覚悟しとけよ!あっ、コレあんがとな!また来るぜ!」

「来るな!」
ぴしゃりとドアを閉める。派出須の言葉などまるで意に介す様子もなく、経一は上機嫌で帰っていった。
スイッチが切れたように脱力してソファに座る。
参ったといわんばかりに派出須は未だ赤みの引かない顔を覆った。
「ったく…、だからあいつは苦手なんだ…」

「逸人がデレた!」
ユグドラシルに帰るなり放った第一声に対して鈍の反応はクールだった。
「今日は8月25日よ」
「おう俺の誕生日!鈍ちゃんのプレゼント超期待してるから!」
「4月1日じゃないのよ?」
「ほんとなのに!そして鈍ちゃん俺の誕生日普通にスルーしないで!」
 
 
 
ちなみにプレゼントの中身は禁煙用の離煙パイプと携帯用の吸い殻入れで、箱の下には何でもない風に「おめでとう」と書かれたカードが添えてありましたとさ。

おめでとう経一!
良かったね経一!
 

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