*霰*
泣き疲れて
怯え続けて
ボロボロになった小さな君を
私はぼんやりした視界の中に捕らえていたよ。
誰にも言えず
演じ疲れた君は
小さな身体に色々なモノを押し込んで
限界を迎えた。
何度も見た光景
無言の涙。
君は声をあげることなく静かにただ涙を零すだけ。
何度も見た光景。
静かに君は自分を傷付ける。
溢れる紅に、君の涙が混じって鮮やかな色を放つ。
『痛い…』
君の静かな声は、苦しそうで寂しそうで辛そうで…
『痛い…』
君の小さなその声は、本当の心の叫び声。
痛いのは紅が溢れ出た場所よりも
心の中。
何度も君が君を殺すのを見た。
何度も君が見えないものから逃げようと、もがく姿を見た。
何度も声にならない叫び声をあげて、独り静かに涙を流す姿を見た。
手を伸ばして
君に何度も触れようとした。
君の壊れた心を包みたかった。
私が君に出会えたのは
それから何年たった後だったのかな??
綺麗な作り笑いの君は
誰よりも………。
*