思い出のファイル
□一日遅れのクリスマス
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そうして正午過ぎ。電話をかけたら皆休みをとっていて、二言の返事で了承してくれた。
そうして集まったいつものメンバー(ぼーさん、綾子、ジョン、真砂子)と琴音と麻衣。
料理を女子グループで作り、男子グループは飾り付けをしたりして準備が整ったのは6時ぐらいだった。
「では、昨日できなかったクリスマスパーティーをやりたいと思いまーす♪」
手を上げた私に周りはパチパチと拍手を送る。
「何で僕達も参加しなければならないんだ」
「いーじゃん。こういうのは大勢でやった方が楽しいんだよ。思い出作りだよ」
ナルとリンを無理矢理所長室と資料室から連れ出し、強制参加させた張本人である琴音は気にした風もなくケラケラ笑った。
「2人が食べられそうなのも作ったし、プレゼントとかも渡したいし。今日くらい付き合ってよ」
お願い、というように両手を合わせて懇願すれば、大きな溜め息をつきながらもその場を去ろうとはしなかった。
「ありがとっ、ナル!」
こうして賑やかなクリスマスパーティーが始まった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
料理は好評で、みんな美味しそうに食べてくれた。
作れなさそうなものは買ったりしたが、ほぼ手作りだった。
「これ美味いなー。琴音が作ったのか?かなり本格的だけど」
「そうなの〜。昨日作っておいたんだぁ〜」
褒められて嬉しいのか自慢げに笑い、他にも自分が作ったのを薦める。
「琴音はお料理が上手ですのね。とっても美味しいですわ」
「ありがとう真砂子。いっぱい食べてね」
食べて、話して、笑って………。それは見ているだけで自分も嬉しくなって幸せになれるような、そんな光景だった。
「ナルとリンさんはどう?美味しい?」
「ああ」
「はい」
隅の方で静かに食べている2人に尋ねれば、周りの喧騒に眉を潜めつつも頷いてくれた。
「ふふっ、ならよかった。『美味しい』って言ってもらえるのは作った側の人にとっては一番嬉しい言葉だから」
にこっと笑って琴音も料理に手をつけて食べはじめる。
「ちょっと煩いかもしれないけどさ、それはそれでいいじゃん。パーティーとは基本そんな感じだし。それに私、クリスマスパーティーなんて初めてなんだよね〜」
楽しいな〜と緩んだ頬で言う琴音をナルが何か言いたそうに見ていたが、結局何も言うことはなかった。
琴音の心底嬉しそうな顔を見れば自然と話しかけることができなくなってしまったのだ。
そうしている間にも、パーティーは盛り上がっていく。
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