ノーナイ・ツインズ
□日常会話すら
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「例えば」
例えば、と。
静司は、同じ言葉をもう一度繰り返した。
二人で晩飯を食べつつ、バラエティー番組を見ながらの、取り留めのない雑談の最中だった。
アホな芸人のクイズ番組並みな、内容の薄さ。
三秒後に切り上げてもいいような、五秒後に忘れてもいいような雑談。
そんな中での、自然な流れで(後から考えると、静司に誘導されていたかもしれないが)、こんな話題を振られた。
「もしも、明日から独りきりで無人島で暮らすことになり、一つだけ好きなものを持っていけるとしたならば、進也は何を選ぶ?」