ノーナイ・ツインズ
□晩餐とそれぞれの目論見・後半
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俺と彩花は、今となっては手料理を振る舞うほど親しい関係だが、中二の頃までは幼なじみを名乗れないほど、仲が良くなかった。
仲がいいとか悪いとか、判別が無理なほど、関わりが少なかったのだ。
自身の最古の記憶では、歳の離れた姉は男勝りでやんちゃばかり、母親はそのフォローにかかりっきりで、俺はいつも遊び相手を探していた。
その主なターゲットが彩葉。
そして影か金魚の糞の如く後ろについてまわってたのが彩花だ。
あまり胸を張って公言出来ることではないが、俺は自分でも呆れるほどに人に流されやすく、寂しがり屋だ。
独りでいることがいやで、いつも誰かのそばにいた。
だから特定の人のそばにいつづけると、結果的に相手からの多大な影響を受けるのだ。
あの頃の俺は、毎日彩葉と日が暮れるまで泥んこになりながら遊んだ。
小学生まではなかなかにアクティブなキャラだったが、両親を亡くし、俺が鬱々としだしてから。
二人が双子じゃなくなって。
彩葉と付き合い始めて。
まず、ゆっくりと彩花が崩れ始めた。
後を追うように、彩葉が瞬く間に壊れた。
その崩壊をとめるために、彩葉から彩花に乗り換えた。
そんなこと、知られずに済むならそれにこしたことはない。