宝物庫
□クリスタルロード
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はぁ・・・
カレンダーを前に溜息をつく。
さっきから同じことを繰り返してばかり。
義兄さんの代わりにパーティーへ出席することになったあたしは、支度もしないでカレンダーの前で溜息を漏らしていた。
今日からゴールデンウィーク。
義兄さんの出張が伸びてしまって、一緒について行っている侑人さんのことを想って何も手につかない。
本当なら今日から侑人さんと2人だけで旅行に行く予定だった。
侑人さんと過ごす初めての海外旅行。
悲しみと寂しさに暮れる想いを何かで埋めたくて自分から社交パーティーの出席を買って出てしまった。
「あたし、何してるんだろう・・・・」
溜息まじりに呟いてようやくドレスを手に取る。
コンコン
ドアをノックする音に小さい返事で応えると真壁さんが部屋へ入ってきた。
「お嬢様そろそろお時間ですがご準備は・・・・・」
そう言って言葉を止めて立ち尽くす真壁さん。
・・・・?
「失礼致しました。鏡果お嬢様大変良くお似合いでございます」
「ありがとう 真壁さん」
あたしが選んだドレスは、侑人さんがプレゼントしてくれた胸元から広がるティアードのデザインが大人っぽいシルバーのミルフィードレス。
侑人さんとの旅行で着るはずだった特別なドレスだった。