宝物庫
□クリスタルロード
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「お嬢様お茶をご用意致しますので、先にサロンへ行って頂けますか」
「パーティーの前にお茶を? 」
「ええ 特別なお茶でございます」
そう言って部屋を出ていく真壁さん。
まだ時間に余裕があるのかなと思いながらサロンの扉を開くと、そこには侑人さんの姿があった。
「ただいま 鏡果」
驚いて言葉にならないあたしに侑人さんが近づいてきて笑って言った。
「やっぱり似合うね そのドレス。独り占めしたくなるよ」
「戻ってきてくれたの?」
「ああ 約束を守れなくてごめん。今からすぐやり直すから」
「きゃっ」
突然あたしをお姫様抱っこして、玄関へと歩き出す侑人さん。
車の助手席に降ろされ、走り出した車が着いた場所はヘリポート
「おいで 鏡果」
先にヘリコプターに乗った侑人さんが、手を出して引っ張ってくれる。
「どこへ行くの?」
引き寄せられ、何も言わずにあたしの頭を肩に乗せる侑人さん。
「ひょっとして約束してたカリブ海?」
「さぁどこだろう? でも海が綺麗なところだよ」
余裕たっぷりに笑う侑人さん。
こんな時の侑人さんに何を言っても敵わないことを知っているあたしは、問い詰めることを諦め、そっと目を閉じた。
「ん・・・・」
身体を包まれる感触にうっすらと目を開ける。
「鏡果着いたよ。なかなか起きないから抱きしめたけど、痛かった?」
「侑人さん・・・」
「鏡果があまりにも可愛いから・・・・・」
侑人さんに顎を持ち上げられ、キスされる。
重なり合った唇は、今までしたことないほど深くて熱くて、あたしはまた夢の中へと引き戻されてしまった。