long

□雪華咲く空
2ページ/9ページ

1.予章




月が青かった。

月明かりが目の前の人物を照らし何故と思う反面絶望した。月明かりに映し出されたその表情は酷く冷たく、無表情だ。


声が、でない。
目先には剣の先に赤いものがぽとりと落ちた。






『かえせ』






か え せ ?



ゆっくりと近づき、そして手を伸ばす。



『かえせ、何もかも』



その言葉の意味を理解した途端、体中震えが止まらなかった。
手は男の瞳のところで止まり、次の瞬間視界が揺れる。



左目に激痛が走った。
その場で悶え込むが声が出せない分余計に苦しい。


どうして今更、
どうして…
















雪華咲く空






次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ