頂き物

□うさぎ うさぎ
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うさぎ うさぎ

 何見て跳ねる

十五夜お月様

  見て、跳ねる---




急用だと家人から手渡された文は、目に入れても痛くない大事な大事な愛息子からだった。

何だろなーなんてワクワクしてられたのはこの一瞬だけで、次の瞬間には思わず叫んでしまっていた。


「…黎深が倒れたぁ!!?」







ダダダダダッと自室に繋がる廊下を走り寄ってくる足音に、黎深は眉を潜めた。


「黎深生きてる!!?」


すたーん!!と開いた扉の向こうには、案の定妻の百合が。


「遅い。朝には着いていろと文に書いた筈だが?」

「…………あれ?黎深、倒れた割には随分元気じゃない?」

「元々倒れてなどいない。」

「え、えっ?じゃあ絳攸から、黎深が風邪で倒れたって手紙が来たのは……?」

「あれは嘘だ。この私がそうたやすく倒れる筈がなかろう?」

「嘘ぉ!!?」

「絳攸に、一週間仕事をする対価として、百合がすぐ帰って来るような文を書けと言ったのだ。まさかあんな内容になるとは思いもしなかったがな。」

「こ、絳攸まで加担したの!?」

「あれが私の意見に逆らう筈がない。」


…はめられたーとうなだれる百合に、黎深はムッとしたように言う。


「なんだ、そんなに不満か?」

「当たり前だろっ!滅多に風邪なんか引かない君が倒れたって聞いて、心配で仕事放り出して駆け付けたってのに……。あーあ、心配して損した。」

「何だと…?」

「何でもないよ。…はぁ……、それで?今度は一体何の用で呼び戻したのさ。」

「わからんのか?」

「わかる訳ないでしょーが。」


すると黎深の視線がふて腐れている百合からすっと外れ、天空を仰ぐ。それにつられてその視線の先を追ってみた。

目に映るは、満月---
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