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□GOSICKパロ
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桜庭一樹のゴシックパロ。




時は1894年。
広大な彩雲王国。
豊かな産地、国境には豊かに広がる水産業。
彩雲国は過ごしやすい気候と豊かな自然、そして長い歴史がある王国であった。
その王国の彩七山脈の麓にある、彩雲王国そのものの歴史ほどではないが、長い歴史を誇る聖彩香学園が建っていた。
貴族の子どもの教育機関として、王国に名をとどろかす名門学園である。
麓とあって空気が薄く、緑に囲まれた学園である。
端から端まで歩くと一日かかる広さだ。
創元なレンガ作りで、名門貴族の子どもである生徒と、教育者のみ出入りが出来る秘密主義な学園でもある。


藍楸瑛は学園で一番を誇る大図書館を目指して歩いていた。
先ほど担任の先生に、今学期一度も姿を見たことがないクラスメイトにプリントを渡すように頼まれたのだ。
この後人と会う約束をしていた楸瑛だが、人望厚く、誰からも信頼されるため簡単には断れなかった。
おまけに「楸瑛君なら安心できる」とのことだ。
断るわけにはいかない。
大図書館に入ると壁一式すべて本棚で並んでいる。
円形状の作りで、中央は吹きめけのホールだ。
ステンガラスの窓が反射して、現実感がない空間を作り上げていた。
遥か上には本と本の間にある螺旋階段のみ行ける室内植物園がある。
長い迷路のような階段で、しかもかなり長いため誰一人植物園には行こうとしない。
そしてその植物園に目的のクラスメイトがいるらしい。
少々面倒ではあったが、早く済ませて帰りたかったので仕方なくこの迷路のような階段を一気に上った。
普段鍛えているからこそ息切れせず上りきることが出来る。
この階段を毎日のぼっているなんて、そのクラスメイトもご苦労なことだ。
下を見ると目が回るのでひたすらのぼった。



ようやく階段をのぼりきり、顔を上げると壮大な植物園が広がっていた。
明るく、人気がない植物園。
南国のやしの木やら木樹が覆い茂っている。
吹きめけの天井には宗教画があり、その下の片隅にはソファーが置かれていた。
ソファーには、一人の青年がいた。
細長い足を投げ出し、一冊の本に夢中だ。
まだ、少年のあどけなさを残した容姿。
月色をたらした銀色の髪色、どこか冷たい印象を受けるその瞳、陶器のような白い肌はまるで人形のようだった。
瞳は一冊の本一点に集中して手元の煙管がぷかぷか天井へ上っていく。


楸瑛はこの学園に来てから少々退屈していた。
しかし今日はとてもいい日だと思った。
この退屈は日々から抜け出せるのだから。

ふと、その瞳が楸瑛を捕らえた。
薄紫の瞳を真っ直ぐこちらに向ける。



「誰だ…?」






「はじめまして。私は藍楸瑛だよ」










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