story

□STAY
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「おれ…ずっとお前と一緒にいる…」






梟の鳴き声に俺は目を覚ます。
半分の月はまだ昇っていて、夜明けはまだ遠いことを告げていた。もう一度眠ろうとした時、ゴツンという鈍い音がした。

「!?」

驚いて音のした方を向くと、セイユウが木に頭をぶつけていた。

「………」
「…う〜ん……」

……起きない。よほど爆睡してるのだろう。どんだけ石頭なんだよ、コイツは……。しかし心配なので、一応診てやる事にする。後頭部のぶつけた所の近くを触る。すると、ある一点で痛そうな顔をした。

(ココか…)

結構腫れたようだ。手を翳し、低くタントラを唱える。

「──マカロシャケンダキ・サラバ・バキナンウンタラタ・カンマン・オン・キリキリ──」

やがて全てのタントラを唱え終わると、セイユウの腫れはすっかり引いた。全く、世話の焼ける奴だ。
なんでこんな奴と一緒に旅をしているのか…。一人が嫌ならついて来いと言ったのは俺だが、どうしてセイユウを拾う気になったのか…。

『ウォンリ!』

蘇った声はセイユウの声ではない。セイユウの前に一緒に旅をしていたリョウジの声だ。
…今頃、アイツはどうしているのだろうか…。

夜長を告げる鳥の声が、響き渡っている──……。


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