story

□わがまま
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僕はワガママな人間だ。
欲しいものは、すべて欲しい。





わがまま





だけどそれは
容易く手に入るモノもあれば
なかなか、手に入らないモノもある。
すでに他の人のモノであれば、尚更だろう。

僕は昔から変な人間で
自分の幸せよりも
他人の幸せだけを願ってた。
理由なんて簡単で
自分が幸せになれないことを知っていたから。
だから代わりに、他人の幸せだけを祈った。

他人の幸せのためを思えば
僕は、手に入れたモノですら手放せる。
他人の幸せのためを思えば
僕は、不幸にだってなれる。

人は僕を
「感情のマヒしたこども」だと言う。

泣くことも、笑うことも
怒ることも、楽しむことも
悲しむことも、痛みを感じることも

僕は、いつの間にかしなくなっていた。

昔は、そんなことなかったのに
気がつけば、僕に感情なんてなくなってた。

ただ手元にあったのは
ワガママな思いと
他人の幸せを願う思いだけだった。

欲しいものは、できる限り欲しい。
だけど、それが他人の幸せの妨げになるなら
僕はそれを、素直に手放してきた。

だから結局
僕には
何一つとて、残らなかった。

感情も家族も
友達も恋人も

何にも残りはしなかった。

そんな僕に
ただ一つ、手放したくないモノができた。

ソレはとてもキラキラしていて
僕が手放した感情を
思い出させてくれた。

だけどそのきらめきは
すでに、僕の手の届かない所にあった。

手放したくはなかったけど
それはある意味、ないものねだりだった。

だからこそ
僕はそれを素直に手放した。
だってそのきらめきは
僕には、とても眩しかったから。

眩しいモノは、僕には不釣り合い。
もっと、似合う人がいるから。

手放したこと
後悔していないと言えば嘘になる。

それはそうだ。
ずっとずっと、好きだったんだから。

でも、僕は、
ただ、祈ったんだ。



アノ人達ニ、幸セヲ…。
ソノタメナラ、僕ハ全テヲ 手放ソウ…。



僕の手元には、もう何もない。
壊れた恋心も
澱んだ悲しみの月隠ヶ淵-ツゴモリガフチ-に
投げ捨てたんだ。

最初からずっと一人だった。
得てしたモノは何もない。

それでも

あなたが
僕の名前を呼んでくれた。

あなたが
僕を少しでも想ってくれた。

その思い出だけで

僕はまた、歩き出せる。

例え行く先が、
暗く果てのない悲しみでも

救いようのない孤独の淵でも

僕はひたすらに
歩き続けるでしょう。

だから、安心してね。

僕は大丈夫だから。

あなたはあなたの幸せを

その手に、掴んでね。

そんな僕を
誰かがこう呼んだ。



他人のことしか考えない、バカな奴だと…。



僕ノ選択ガアナタニトッテ 最善ノ選択デ アリマスヨウニ。

アナタノ幸セガ 僕ニトッテノ 幸セデス。

[END]


何が書きたかったんだろ…


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