story

□悲恋
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見てしまった……。
この事実を、僕はどうしたら良いんだろう…?





悲恋





「っ…」

零れそうになる嗚咽を堪えながら、僕は走った。

──分かりきっていた、ハズなのに……。

結ばれないことも、あの人が僕のモノにはならないってことも、全部……。

だって、これは僕の勝手な片想い……。

でも、あの人はいつだって、僕に向かって微笑むから……。

──期待、していた……。

気づけば、僕は森の中の開けた場所にいた。

空は曇天。今にも雨が降り出しそうだ……。

「っ……」

見たものを思い出して、また嗚咽が出そうになった。

──あの人が、恋人と口づけを交わしていた。

たった、それだけのことなのに……。

だけど、その時のあの人には、恋人しか見えなくて……。

冷たい雨が降り出した。まるで、僕の心に呼応するように……。

……そうだ。僕は雨鬼の子供。僕の意思と雨は、繋がってる……。

雨に打たれながら、僕は涙を流した。

苦しさが和らぐことはない。多分、それが罰なんだろう……。

主人の恋人に、恋をしてしまったこの僕への。

雨は激しく降ることはなく、静かにサーサーと降りしきる。

……これが、絶望と言う感情なのか……。

ねぇ…僕はどうすればいいの?

この苦しみを、この想いを、僕はどうすればいいの……?

問うたところで、答えてくれるモノは何処にもいない。

雨の中、僕はただただ、泣き続けた……。

[END]


雨鬼…「水」の力を持つ鬼の中の、雨を操ることのできる鬼。天候を操る力を持つ鬼は一握りであり、それぞれの力を持つ鬼達より神聖視される(あくまでも若宮の勝手な考え)

…これは某SNSにて書いているBLシリーズの話ですな(´Δ`;)近い内にサイトにも上げます


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