story
□小さな贈り物
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「お前ってさ、誕生日になんか欲しいもんあんのか?」
久々の逢瀬。彼が僕に発した第一声はそれだった。
「ん〜…特にはありませんが…。強いて言えば君のカラダ」
「果てろ、バカナッポー」
相変わらずの鋭い言葉で、彼は僕の言葉を一刀両断する。
「欲しいものは何って聞いたじゃないですか…」
「オメェは少し自重しやがれ!!」
少しだけ顔を赤くしながら、彼はそっぽを向いた。
…何なのでしょうか…この可愛い生き物は…。
「…コレ」
彼の言葉にハッと僕は我にかえった。彼の手には、一つの小さなプレゼントボックスがあった。
「やるよ、コレ」
「コレは…?」
「イイから受け取れ」
僕の手にそれを押しつけ、彼は再びそっぽを向いた。
「…開けてもいいですか?」
「………」
彼はこちらをチラリと見て、コクリと頷いた。
「では…」
僕はボックスのリボンをスルリと解き、綺麗な模様の入った包装紙を開けていった。やがて本体の箱に辿り着き、僕は箱のフタを開けた。
「これは……」
中に入っていたのは、シルバーアクセサリーのネックレスだった。
薔薇の花と髑髏がモチーフの。
「お前に似合うと思ったんだよ」
そんな声に、顔を彼の方に向ければ、彼は顔と耳を赤くしていた。
「ありがとうございます」
「つけてやるよ」
彼の思いもしなかった言葉に、僕は驚いた。
「自分でつけられますよ」
「イイから俺につけさせろ」
彼はそう言うと、箱の中からネックレスを取り出し、慣れた手つきで僕の首にかけた。(彼の手が僕の肌に触れたとき、思わず理性が飛びそうになった。)
「やっぱり、お前に似合うと思ったぜ」
僕の首にかけられたネックレスを見て、彼は満足そうに笑った。
「そう言ってもらえて、嬉しいですよ。……おや」
「どうしたんだよ?」
「君の今日のネックレス……」
「!!」
気づいたように、彼は自分のネックレスを掴んだ。
彼の今日のネックレスは、僕に贈ってくれたネックレスとまったく同じモノだった。
「も…もしかして…」
「お、お前と揃いで持ちたかったんだよ!!ワリィかよ!?」
顔と耳を真っ赤にしながら彼は叫んだ。
「悪くなんてないですよ。むしろ、僕は今すごく幸せです」
そう言って、僕は彼を抱きしめた。僕よりも小さな体は、僕が抱きしめるのに都合が良かった。
「大げさなヤローだぜ…」
そんな彼の声は、どこか嬉しそうだった。
「なぁ…」
「なんですか?」
「お前の誕生日の日……会えねぇか?」
デートがしたいと言った彼の耳は、茹で蛸のように真っ赤だった。
「なら、今からデートに行きませんか?」
「えっ?」
「だって、行きたいんでしょう?」
「そ、そりゃあ行きてぇけど…」
「それなら今すぐ行きましょう」
「で、でもなんで…?」
まだ理解できないのか、彼は慌てた様子で聞いてきた。
「今日が何月何日か、あなたは御存知ですか?」
「今日は…六月の九日だろ……ってまさか!」
「そのまさかですよ。今日が僕の誕生日です」
僕の言葉に、彼は目を丸くしていた。でも、ある意味でそれは仕方がなかった。
ボンゴレの目がある手前、彼とはあまり会えないし、何よりも二人の間の距離は、そう簡単に縮まるものでもないのだから。
「……今日が誕生日なら、もう少しマシなモンやればよかった……」
彼の呟きは、僕の耳にしっかりと届いた。
「そんなことありませんよ。君が選んで僕にくれたんです。君がくれるモノなら、僕はなんだって嬉しいんですから」
愛しさと感謝を込めて、僕は彼を再度抱きしめた。
こんなにも可愛らしい人を恋人に持てて、僕はなんて幸せ者なんでしょう。
「三ヶ月後の今日が楽しみです」
「なんだよ?三ヶ月後の今日って…?」
「こっちの話ですよ」
きっと、彼は自分の誕生日を忘れているのだろう。でも、その方が僕にとって都合がイイ。
三ヶ月後の今日、彼の驚く顔を見るのが今から凄く、楽しみだ。
[END]
はい!やっと書ききったよ自分……。よくがんばったなぁ、オイ。今日中にアップできるよ!!やったねヽ(≧▽≦)/
可愛い感じの獄寺君が書けて、本人大満足です(o^_^o)ムク獄は、どうしても切ない話が多くなっちゃうから、こんな話があってもいいと思う!!まぁ、こんな事言いつつ、どうせまたこんな感じの話しか書かないだろう!
何はともあれ、骸happy birthday(@^O^@)