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□ひとり
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「…んっ………や…ぁ…」
前甲板に設置してある舵輪。
今夜の不寝番は、ルフィのはず。
――コツ
小さなヒールの音も、これだけ静かであれば、この声の主にも届いたのであろう――舵輪前のソファーに座る彼はびくりと肩を震わし、ロビンを振り返った。
「………ぁ……ろび…ん?」
「船長さん、そこで何を……」
ロビンが数歩近づくと、ルフィは「来るな!」と荒い息のままロビンを制した。
「悪ィ……すぐ…終わらせる…から………」
再び忙しなくルフィは腕を動かし始めた。
ソファーに隠れて、身体の大部分が見えないとはいえ、ルフィがそこで何をしているかは分かった。
ロビンは欄干にもたれかかると、ルフィの横顔を見つめてみた。
「……く……ぁは……はぁ………んんっ…んっ…んっ…んっっ………ひぁっ!…」
一際高い声が出ると、ルフィはチラッとロビンを見る。
「どうかして?」
「…や………何でもねェ…」
ルフィは腕を動かし始める――いや、腕というよりは手というべきか。
「…は…ふぅっ……んん…っ」
ぐちゅぐちゅという卑猥な水音は、少し離れた場所にいるロビンにも聞こえた。
「あ…あ…あぁ…あぁっ……っ!サン…ジっ!!」
暫くの間、ルフィは肩で息をしていた。
突如フワッと手が目の前に咲いたかと思うと、その手はティッシュ箱をルフィに渡した。
「……悪ィ…ロビン」
「いいえ」