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□メガネの君
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立入禁止の学校の屋上。
放課後は毎日、ある二人組がやってくる。



「ウソップはやくはやく!!」


「あーもー、分かった分かった…」

重い金属製の扉を開け放し、満面の笑みで先に屋上に足を踏み入れたのは、ルフィ。

その後に続いてはあはあと息を切らしてやって来たのは、ウソップ。
扉を閉めると、既に物影に腰を下ろしているルフィのもとに駆け寄り


「お前な!…勝手に走ってくなよ!!」


「ウソップが遅ェだけだろ?ちゃんとおれについて来いよ!」


「こ、こんにゃろ…」



ウソップが怒りでぷるぷると拳を震わすと、

「まぁまぁ、そんなに怒んなよ!」

にっ、と見上げ手首を引くと隣に座るよう促す。
ウソップはまだ腑に落ちない様子ではあるが、しぶしぶ腰を下ろす。


「今日あっちーよなァ?」

「…そーだなー…汗でびっしょびしょだ…誰かさんに意味もなく走らされたからかなー」


ワイシャツの襟元を摘まみ、汗を乾かそうとパタパタと動かし、きっ、とルフィを睨み付ける。


「んもー、悪かったってば!…ほら、うちわとか持ってねェの?」


ルフィは勝手にウソップの鞄の中を漁り始める。


「何もねェよー…「ウソップこれなに?」


ウソップの言葉を遮り、ルフィは紺色のケースを取り出す。


「あ、それ眼鏡だ」


「眼鏡?ウソップ眼鏡なんてかけんのか?つか目悪ィとか初耳だ」


眼鏡ケースをウソップに渡し、ルフィは首を傾げる。


「いや、いつもはコンタクト。まァそれなりに悪いかなー」


「いつ眼鏡かけんの?」



ルフィは興味津々といった感じに、身を乗り出しウソップに問う。


「そーだなー…家にいるときは眼鏡かな、一応常に持ち歩いてはいるけど」


「じゃあさ!かけてみてよ!!眼鏡かけたウソップ見てェ!!」


るんるんと目を輝かせルフィはウソップと眼鏡を交互に見る。


「別にそんな面白いもんじゃねェぞ?」



ウソップはルフィの勢いに負け、ゆっくりと眼鏡を取り出す。

細い黒ふちの眼鏡をかけると、焦点のあわないままレンズ越しにルフィを見つめる。


「……!!」

「なんだよ、無言やめろ!あーどーせ似合わねェよ!!」


ふんっ、と口を尖らせ眼鏡をはずそうとすると、


「外すな!!」


とルフィが声をはり、ウソップが一瞬びくりと肩をすくめる。


「な、なに……!」


ルフィは正面からウソップに抱きつき、


「す、すげェ似合ってる…か…かっけェ……ぞ…?」


上目遣いでウソップを見上げるルフィの頬は赤く染まっている。

「そ、そっか?ありがと…」

ウソップはにこと笑うと、見上げてくるルフィの唇に自分の唇を重ねる。



「…あー…おれやっぱルフィが好きだなァ…」

ぽつりと呟いたのを聞いたルフィは、ぎゅうと強く相手を抱き締め、

「………お、おれも、ウソップが世界で一番……だいすき…だ……!」


ウソップもそれを聞けばにこりと幸せそうに笑顔を浮かべ、強くルフィを抱き締めた。




End.

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