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□手をかさねて
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「サンジー飯はー?」
「さっきくったばっかだろ、ちっと黙ってろ」
「ケチー」
ルフィは昼食を食べ終わってからずっとキッチンのカウンター席に居座っている。
時折、部屋をぐるりと歩いてはまた同じ席に座り、キッチンに向かうサンジを眺めていた。
「お前も外でウソップ達と遊んでくりゃいいだろ?」
「んーん、今はここにいるんだ」
「はいはい」
サンジは一瞬もルフィを見ることなく短い会話を終える。
「ふぁー……」
「なんだよ、眠いなら寝りゃいいだろ」
「いや」
ルフィはあくびをしながらごしごしと目を擦る。
すると、扉が開き、
「サンジくん、あ、仕込み中?」
「あぁ〜ん!ナミすわん!どーしたのー?!」
「アクアリウムバーに飲み物2つお願い、私とロビンのぶん」
ぱちっとウィンクをきめて、ナミはそうそうに部屋を出ていった。
あとに残ったのは、目をハートにしるんるんと飲み物を用意するサンジと、眠そうにしながらもサンジをにらみ続けるルフィ。
テキパキと準備をしたサンジは、リフトに注文の品を乗せた。
「さて…と…」
サンジは、はっ、と短く溜め息をつき、冷蔵庫を開ける。
「ほらよ」
スプーンと一緒に、ルフィの前に出されたのはフルーツゼリーだった。
ルフィはいつもなら目を輝かせてすぐに食いつくのに、今日は唾をのみこんだだけで、ぷい、と顔をそらした。
「なんだ?食わないのか?まだ試作品だから、味見がてら食べて欲しいんだが」
顔をそらしたまま唇を尖らせ、
「……ナミに食わせりゃいいじゃん」
「はぁ?……なんだ、拗ねてんのか?」
にやにやと笑みを浮かべながら席に移動すると、ルフィの隣に腰掛けた。
「別に拗ねてねェもん、バカサンジ……」
「あ?誰がバカだって?さっさと食ってけ」
サンジは乱暴にいい放つと、煙草を取りだし火をつけようとした。
「サンジの意地悪!…たまには女ばっかじゃなくて…おれにも優しくしてくれたって……」
最後の方は声が小さすぎてサンジにも聞き取れなかったが、大体のことを掴み、ふ、と口角をあげた。
それに気づいたルフィは、
「ぁんだよ!!あっち行けよなエロサンジ!!」
サンジに背を向けるように体の向きを変えた。
と。
サンジはルフィの腹に手を置くように、腕をまわした。
「へっ?!サンジ?!!」
「うっせーよ黙ってろクソゴム」
サンジはルフィの背に額を乗せ、すぅ、と息を吸った。
「…おれがこんなことすんのは、お前だけだぞ」
「な、なんだよ…ナミとかロビンにもしてェとか思ってんだろ!!」
「まァ…それはそうなんだが……それは、レディ限定だ
野郎相手には普通こんなことしねェよ……つーか、あんま語らせんなよバカゴム!!」
ルフィはくっくっく、と笑いを堪えながら、サンジの手に自分の手を重ねた。
「何が可笑しいんだよ…」
「へへ…おれ今、すっげェしやわせだ……サンジ大好きだ…」
「うっせェ、黙れ……バカ…」
サンジはぎゅ、と強くルフィを抱き寄せた。
END.
☆☆
えー、あるお友達に捧げます(笑)
ツンデレサンジを目指したのに……←
お読みいただきましてありがとうございました!