ツナちゃんとロマーリオさんの会話小話。
「すみませんボンゴレ10代目。ボスは急用が入っちまいまして…」
「ロマーリオさん!」
仕事で日本に来ているらしいディーノの誘いを受けて、待ち合わせの喫茶店。
そこに顔を出したのはディーノではなく、実に申し訳なさそうな顔をして頭を深々と下げるロマーリオだった。
「ボスはすぐに来るとは思いますが…10代目には少しの間俺で我慢してもらって…」
「いや!そんな我慢だなんて!あ、頭上げて下さいっ!というかわざわざありがとうございます!」
「ハハ…こちらこそ有難う御座います。さすがうちのボスが惚れ込んでるだけあって、10代目は本当にお優しい」
「な、何言って…!」
真顔でそういうことをサラリと言うから質が悪い。
綱吉は真っ赤な顔をして、目の前のアイスティーを一気に飲み干した。
「いやしかし、ボンゴレ10代目には本当に助かってますよ。ボンゴレの名を出せば、ボスが焦って馬車馬のように働いてくれますからね」
もう一度頭を下げ、綱吉の正面の席に座って。
ロマーリオが自分のコーヒーと綱吉の二杯目のアイスティーを手早く注文する。
「ば、馬車馬って…」
「ただ、10代目のこととなると熱が入りすぎて…ボスのくせに周りが見えなくなっちまうことも多々ありますがね。ハハハ!」
そう言って楽しげに声を上げてロマリーオは笑っていたが、綱吉は何だか急に申し訳ない気持ちになっていた。
何もない床を見つめながら、ぎゅう、とズボンを握り締める。
「…あの、何かすみません…俺みたいな奴に、皆さんの大事なディーノさん…」
「勘違いはよくありませんぜ、10代目」
「え?」
綱吉がゆっくり顔を上げる。
眼鏡のガラスの奥で、ロマーリオの瞳は優しげに細められていた。
「むしろ、うちのボスをボンゴレ10代目に見初めてなんてもらって…俺たちファミリーは頭がたけーったらねーんですから」
その言葉に、何て返していいのかわからなくて。
だけどただ、胸の辺りが焼けてしまいそうな程に熱くなるのを感じた。
「これからも、どうかボスを宜しく頼みます」
「ロマーリオさん…」
「しかし毎回、跳ね馬の名に恥じぬ位頑張りすぎちまってるみたいですがね」
「なあ…っ!」
それが何のことを言ってるのか解ってしまって、途端に顔が赤くなる。
ロマーリオはヒゲを擦りながら、ニヤニヤとそんな綱吉を楽しそうに眺めていた。
「でも、少々残念に思っちまうこともありますねぇ…」
「え?」
どこか遠い目をして、けれど何故か嬉しそうに。
ロマーリオの囁き。
「ボスと10代目の子供なんて…どう考えてもクソ可愛いじゃねーですか…!ああ、生きてる内に抱きたかったなぁ…」
(何か初孫を望むおじいちゃんみたいになっちゃってますよロマーリオさんーーーー!)
end
キャバッローネの信条
「ボンゴレ10代目はボスの嫁!」