零崎楽識の人間模倣

□第三幕.人権侵害(人間肯定)
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空を見上げていれば避けようともしなかった死角からの衝撃に身体は倒れ込んだ。


「いてて…不意打ちはねぇよ。風紀委員長さん」


一般人としてはすでに限界の段階。
服で隠れている部分をめくれば人間の肌なのかを疑うほどに変色している。



ここに来て並中の秩序様にまで嫌われるなんて最高に笑えるのな。



「君、ムカつくよ。イジメをしていることもそうだけど………
肉食動物の癖にいつまでも草食動物の皮を被ってるのが余計にね」
「ハハ、何言ってんだよ風紀委員長さん。俺は雑食だぜ?」

「まぁ肉の方が好きだけどな」と惚けてはみたが意外に驚いた。
騙されてるくせに強いことだけは見抜いている。

どれだけ戦闘に飢えているのだろうか?
どうして零崎に覚醒していないのか不思議でならない。

それとも殺したことが(それは俺もないけど)…殺す意志がない?
だったら最高に晒えるのな。



存外雲雀は正義の為に殺す始末番、薄野に近いと思っていたがとんだ思い違いだった。
どうにも俺には潤さんと違って他人を過大評価する傾向があるようだ。
過小評価より幾分相手の気分だけはよくなるだろうが結構致命的かも知れない。
まだまだ俺は子供なのなって安心できるからそれでも構わないんだけどな。


「いつまでそうしているつもりだい?」


それはいじめ続けられること。それは一般人のフリをすること。それは暴力を甘んじていること。
あまりにも無様であり受けることのない暴行であり何より俺が彼らより強いと気づいている。


喋らないのは良いことだが短い言葉に意味を詰め込みすぎだ。
普通の奴には通じないかも知れないぜ。


「右腕を折られるまでじゃねーの?」
「君って馬鹿なんだね。で、僕はそれ以上の馬鹿か」


唐突であったこともそうだが俺はまた雲雀に対してポカンとなった。

性格はマンガで読んでいたし掴めていると思ったが雲の守護者に選ばれるだけあって心を読まない限りはまったく掴めない。





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