雪の守護者

□六戦目.赤き風吹き紛れる闇現る
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元就は珍しく外の適当な店でケーキを食べながら今までのことを振り返っていた。



5歳の頃に両親は亡くなった。
財閥の当主だった親の抑止力もなくなり欲に目の眩んだ親戚に遺産だけが不当にむしり取られ
邪険にされる生活に元就は乞食若殿と呼ばれた屈辱の日々を思い出していた。


形骸化の予兆を見せ始めた財閥に早々に見切りをつけて
貯めた金を資金に親戚とも呼べない血縁たちを出し抜いて一人暮らしを始めた。
同時に元就はその時まで持っていた違う名字を棄てた。

そうして無為に過ごし何も返すことなく忘れ去られた両親の母校である並盛中―物語の舞台―に通おうと転校した。



結局は独りで日常も学校も乞食若殿と呼ばれていた頃と余り変わりはなかった。


「やっと、見つけた」
「アハー!ホントにいた!!毛利の旦那、会いたかったよ!!」


辛気臭いことを考え込んでいるところに
突然、後ろから声と共に衝撃が伝わった。
姿を確認し懐かしいと感じたのは嘘ではないと理解した。



「赤き忍と迷彩の忍………なぜ」




もう見ることもないと思っていた懐かしき忍がそこにいた。





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