雪の守護者
□四戦目.緑の智将の郷愁
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動きやすい私服に着替え元就は黒曜ランドに向かった。
雲の倒したどうでもいい黒曜生を時折踏み潰しながら3階まで足を進めた。
「さぁ続けましょう」
聞こえてきた声にどこか聞き覚えがあると考える自分がいた。
六道骸であるはず男の姿は確かに記憶の通りで見覚えはある。
奇妙なジグザグの分け目も雑草のような葉もあり六の文字を刻んだ真っ赤な右眼同じだ。
ただ蒼であるはずの髪と左眼が白銀なのだ。
それはまるで「…………明智光秀」の様だ。
動かなくなった雲から不気味にゆっくりと意識をこちらに向けあの白銀の死神のように
それでいて六道骸のように「クフフ」と笑った。
「今は“六道骸”ですよ。
僕を救ったのは貴方だと言うのになんて顔をしているのですか、元就」
「驚いただけだ……久しぶりだな、白銀の死神」
自分がここにいる時点で元就はありえない話ではないと考えたがそれでも会えないと思っていた人間に会えたことは大きかった。
「そういうことにしておきましょう」と見透かしたように光秀はまた笑った。
元就も少しだけ口元を緩めた。
「ここには“任務”で来たのか」
元就の質問は疑問と言う形にもならなかった。
明智光秀のままであるならマフィアに復讐すること自体があり得ず“六道骸”の概念を根底からとは言わないが覆さなければならない。
光秀は確かに普通で言えば狂っていた。
戦に狂い、血に狂い、自らに狂っていた。
それでも“我”と友になり同盟を組む頃には多少熱烈ではあるが
他の人間と同じ様な感情表現をしていた。
(変態じみていた)
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