零崎楽識の人間模倣

□第五幕.登校日(覚醒日)
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山本武が望んでいた原作通りの夏休みが過ごせるはずもなく並中の登校日が来てしまった。




夏休みの半分を京都のオンボロな骨董アパートの住人たちと玖渚友とその〈仲間〉−チーム−、母さんこと哀川潤と楽しく過ごさせては貰った。









だけど嵐の前の静けさの様で何か起こりそうな気がする。















教科書−マニュアル−でもあるのではないかと思える程にパターン化されたつまらないイジメを無視し、
先生から大量に出された追加の宿題も鞄に入れた。







嫌な予感は消えてくれない。消えないどころか増している。












武は学校が昼で終わることに感謝した。
同時に教室を出て靴を履き替え学校を後にしようとする。








しかし、一応一般人な哀川武にはそんな簡単なことも出来なかった。


薄手の長袖の上から容赦なく腕を数人で掴まれれば一般人にはどうしようもない。



長袖に隠れた醜く変色した肌、傷やアザはいくつもの鈍い痛みを産み出す。


出来たばかりの傷口から少しだけ血が滲み武は眉を寄せた。





あぁ、綺麗だ。でも血の赤は嫌いなのな。
血が出たら痛い。痛いのは楽しくない。
こんなちっぽけな赤を嫌うより溺れるような朱の中で楽しみたい。






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