零崎楽識の人間模倣
□第三幕.人権侵害(人間肯定)
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並盛中の、並盛町での俺の人権はすでに否定されていた。
そこにいれば存在しないことが居場所になる場合だってある。
今がそのいい例だろう。
現在、俺の居場所は教室の隅。なんてベタなと思えるほどのイジメっぷりを発揮されている。
暴力は一般人としてあんまり避けていないので堪えるがバケツとか黒板消しとか靴箱や机の細工とか馬鹿みて―だなと思いながら内心最高に笑えるって爆笑していた。
「ヘラヘラしてんじゃねーよ!!」
「山本!また麗ちゃんを殴ったんだね!!謝ってよ!!」
「私…何か怒らせることしたかな……?」
でもどうしてだろう?どうしてツナや獄寺(その他リボーンキャラ)、野球部からの言葉は
鋭く痛いと感じてしまうのだろうか。
清水の演技なんてムカつくしイラつくけど極論で言えばどうでもいい。
眼中にすらない。話題にする価値もない。
「アハハ、俺は哀川武だからそこんとこよろしくなのな」
俺は確かに一般人の山本武だけど今は哀川武だと言うのにまだ愛着があるようだ。
爽やかに笑って名字を訂正すればなぜか苦虫を噛み潰したような顔になった。
「けっ、冷てぇ野郎だな」
「泣きもしないなんて髪と同じで冷たいんだね」
「心まで化け物なんじゃねーの?」
「かもな!碧い髪とかありえねーし」
親父が死んだことはすでに学校中に広がっているのだろう。
本人を前にして思い出させるなんて本当に無粋で考え無しな連中だ。
山本武である哀川武が哀しまない訳ないだろ。
そう言えば俺、一度も泣いてないのな……。
どうやって泣けばいい。悲しいけど涙なんてでなかったぜ?
「早く席に着きなさい。授業始めるぞ。や…哀川も早くしろ!!」
「!おっす先生。これ今日の分の宿題な。サボるんで出しときます!」
今や先生までもが俺の人権を著しく侵害している。
人間であることを否定されるよりいいが
無意識に聞いてしまう心の声ですでに否定されていた。
まぁ地味な小言や大量の宿題もほとんど家にいない潤さんには見つかりはしないだろうけど
修行の時間が削られるのが少し痛い。
全部やる俺も俺だと思うがハッキリ言って人類最上である俺には作業自体はキツくない。
「ダメだ!!授業を受けろ!!!!」
「これはお願いじゃなくて報告なのな。
先生!今日の宿題は勘弁な!」
きっと正当な理由であってもあの先生は俺を教室に縛りつけようとするだろう。
教室に戻る気はないので荷物を持ってそのまま屋上に向かった。
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