雪の守護者
□三戦目.黄金の空の昔話
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毛利君の綾姫ちゃんへのイジメが始まって三週間たった頃だろうか。
ツナは珍しく一人で並盛商店街を歩いていた。
「よぉツナ!一人なんて珍しいじゃねぇか!」
声の主は朝日を映したような黄金の長い髪を持ったディーノさんだった。
今日は彼も部下を連れていない。
「ディーノさんこそ珍しいじゃないですか。だ、大丈夫なんですか?」
「ん?ロマーリオたちなら休憩に行かせただけだぜ。
それにちょっと方向音痴になるだけだろ」
そのちょっとがいただけないなんて言えない。
究極のボス体質であるディーノさんは部下がいないと何もかもが疎かになってしまう。
吊り橋の縄を切って遭難したことはツナの記憶には新しかった。
「それにいざとなりゃ夢吉と一緒に超刀で蹴散らしてやるよ。
……………流石に部下がいないところで鞭を振るったら危ないからな」
「キキッ!!」
エンツィオと違って日本名で名付けられたら小猿の夢吉はディーノさんに応えるように可愛らしく鳴き声をあげた。
どうやらこの前のことは反省しているようだが超刀とは何のことだろうかと疑問に思った。
しかし、今のツナにはそんなことよりも話したいことがあった。
「あの、ディーノさん!相談したいことがあるんですけと……いいですか?」
「おっいいぜ!可愛い弟分の頼みだ!いくらでも聞いてやるよ!」
いつものように黄金色の髪を揺らしてニカッと笑って言ってくれた。
ボスになんかなりたくないけど将来はディーノさんみたいな男になりたいとツナは思った。
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