雪の守護者

□二戦目.蒼空と偽りの姫の気持ち
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―ツナside―



毛利君を初めて見た時、人形に見えた。
物静かで無表情な彼は俺の周りにはいないタイプの綺麗な人だった。


「よろしく」


隣の席だったからだけかも知れないけど
小さく微笑みながら言われたあいさつに嬉しくなった。



俺はイジメをするような人には見えなかったんだ。



友達になれると仲良くなれると思った。
でも違った。酷い奴だったんだ。



綾姫ちゃんの話では
告白して断った腹いせに殴りつけたらしい。


謝れば綾姫ちゃんは許してくれるって言ったのに毛利君は謝らなかった。

「必要のないことを謝る気はない」

なにも映さない無表情。
殴られたのに罵倒されたのにどこまでも興味がなさそうに冷めた表情だった。


「お前は蒼空のようだな。
良ければいつか絵の題材にさせてくれ」


あの時の言葉や微笑はウソなんだと思った。






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