雪の守護者
□十二戦目.雪の埋葬地
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雪は“思われている”ことを理解しているが、埋もれた“思い”を知らない
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光の婆沙羅者は浅ましく愚かな面を持っている。絆、正義、宗教、どんな言葉を並べ立ててもそこには自らの理想がある。他を照らし塗りつぶして自らが正しいと突き進む。
氷の婆沙羅者は信仰心が強い。
「語りてたまわれ。戻りてたまわれ・・・・・・」
「開け放たれよ、常の闇・・・・・・来たれ、集え、夢を見よ」
「懐かしき香につられて降りてたまわれ・・・」
「者々よ、更に宴し勤めを果たせ」
中庭とその中庭に面した屋上を丸ごと覆った雪戦のフィールド。降り積もる雪よりもその存在を主張する香炉の多さに元就は眉を寄せる。
「守護者戦にはそれぞれの使命に適したエリアで戦ってもらいます」
予測のつかなかった特設フィールドだが、想像以上に厄介だ。
「今宵のフィールドは雪の守護者、光の守護者にふさわしい墓場のエリア。名付けて“スノーセミテリ”」
ここが墓場とは、黄泉の間違いではないか。
先ほどチェルベッロから聞いたルールを胸の内で反芻する。
「雪の守護者戦はバトルロイヤルで行います」
「そして今回に限り外部から協力者を4名お呼びしました」
元就と市原綾姫それぞれのスタート地点へ入るために作られた二つの階段の上の扉の前で聞いたそれ。
「BASARAコンツェルンよりフィールドの維持と戦闘を行ってくださるピオネイロ・セースト・サタナス様、フロル・キント・サタナス様。ボンゴレの同盟ファミリーエヴォカトーレファミリーよりフィールドの維持と解説を行ってくださるアルビート様、リゾーナ様です」
中央に設置された二つの大きなスクリーンに映る見知った二人と南部晴政の孫らしい見知らぬ二人の似てないようで似ている兄妹。
「フィールド内の屋上には香炉が108個設置されておりどちらかが54個の香炉を破壊しなければ屋上の中央の扉は開きません」
映像が切り替わり屋上を半分に分断する頑丈そうな扉を映す。
「しかし必ずしも破壊する必要はありません。階段から中庭に降り相手側へ移動することもできます」
「その場合、中庭に待機しているピオネイロ様とフロル様に対峙することになります。また15分経った場合二人は屋上に上がることを許されます」
中庭も半分に区切られており目に見える最短ルートはないようだ。
「フィールド内の声は全体に届く使用になっています。そして香炉がある限り重装歩兵がさまよっていますのであしからず」
「指輪は原則として首から下げることとします。そして相手の指輪を奪い完成させた者が勝ちとなります」
小さく平和な戦場だと思った。確かに計算外には弱いが毛利元就である俺の予測を遥かに上回るなどとはやはり考えもしなかった。
「何をいまさら・・・」
伝えようと言うのか。
だが、これは嬉しい。どこか痛いし、苦しいし、気持ち悪くて、不愉快ではあるが、どうにも狂った感情が、感覚が面白い、愉快で痛快だと叫ぶ。
どんなにおぞましく思おうが、これは間違いなく喜ばしいことだ。
私はこれが、怖かった。我はこれを聞くことはないと思っていた。そして俺はーーーー聞くことができたと喜んだ。
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