雪の守護者

□十戦目.雪を笑う梟
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雪は強かだ。

舞い散る雪は降っているのではない。
堕ちているのだ。

地に着いた瞬間、この世を知り、穢れ、消え失せる。

残雪は踏みしだかれ、遊戯の糧となり、泥の屈辱を受けながら、溶け逝く。

自らが穢れ、死に続けているにも関わらず、穢れを知らぬように雪は降るのだ。

穢れを覆い、純然たる白を主張するが如く。

雪を儚いと称するなら思い違いだ。

一片が消失しようと、雪は一帯に積もる。
雪の猛威を儚いとは表せまい。

雪は強かに、凛々しく存在する。

人を雪と称するなら、何とも解り難く、矜持の高い人物だと喩えよう。




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