駅前タンポポ
□駅前タンポポ 6月
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「はあ…」
投球練習を終えた穂菜実は一つため息をついた。
「緊張してるんだ」
「あっ…新堂先輩…」
新堂が緊張している穂菜実の頭に手を乗せた。
「大丈夫、今まで穂菜実が先発で勝ち続けてるんだから。心配しなくてもいいから、気楽に投げなさい」
新堂は笑顔だった。
「……はい、頑張ります!」
選手がホームベース付近に集まり、審判が「礼!」の一言で、全員が帽子を取り、頭を下げた。
準決勝の対戦相手である御坂富士高校は今大会の第一シード。
練習試合では、必ず10点以上は取るという、全国屈指の打撃力のあるチームだった。
先攻は平柿学園高校。
相手投手が投球練習を済ませて、審判が試合開始を告げた。
「プレーボール!」