駅前タンポポ
□駅前タンポポ 6月
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第四週
〜雨はいつかあがり、そして虹がかかる〜
――ガチャ
「あゆっち!」
「あれ、どうしたの?柴ちゃん」
「試合始まるよっ!」
「もうそんな時間?こー君は?」
「ぽっちと一緒にいるよ、あゆっちもこー君の部屋に行こう!急いで!」
土曜日の昼、時刻は2時。
駅前号の住人3人と、ほなみの4人は3号室のテレビの前に集まっていた。
「こー君、ウチに教えてくれてありがとねー」
「ああ、柴が一番この試合を観たいだろうし、それなら皆で観た方がいいだろ?」
テレビで映されているのは、女子野球の準決勝の第2試合目、平柿学園高校の試合直前のグラウンド整備の様子だった。
「それにしても、すごいよね。準決勝からテレビ中継だなんて…こー君は経験ないでしょ?」
ほなみがテレビをチラッと見て、笑いながら浩暉に問い掛ける。
「うるさいなあ…バドミントンはなかなか中継されにくいんだよ」
「あっ…そろそろ試合が始まるみたいだよ」