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□like oneself
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「ねぇ、エリオット。」

夕食後、いつものようにベッドで本を読んでいる主―エリオットに僕は話しかけた。

「なんだよ。」

本から顔をあげ、エリオットが僕を見る。

「…昼のことだけど…なんで僕のこと庇ったのさ。」
「昼?…あぁ、あれか。」

今日の昼、不審者が校内に侵入した。
そして僕たちはその不審者とばったり出会ってしまったのだ。
その不審者はこの学校に入れなかった子供の親だったらしく、僕たちを見るとなりふり構わず襲いかかってきた。
この学校に入れなかった子供の親が逆恨みで学校に侵入し色々やらかすことは少なくないらしいがさすがに出くわすのは初めてで、体が固まってしまった。
そんな僕をエリオットが庇い、エリオットは左腕を負傷した。
幸い不審者はすぐに先生たちが取り押さえてくれたが、僕はそのことがずっと頭から離れなかった。

僕がエリオットに守ってもらうということは少なくない。
というより、何かがある度に僕はエリオットに守られていた。
だから少なからずずっと僕の頭の中にはこういう考えがあったんだ。

―僕はエリオットの足手まといなんじゃないか―

その思いが今回怪我まで負わせてしまったことで増幅した。
不安でしょうがないのだ。
エリオットの足手まといになってしまうことが―…エリオットに嫌われてしまうことが。

「んなの理由なんかねぇよ。お前が危なかったから庇っただけだ。」
「でも…僕のこと庇ってなかったら怪我なんてしなかったじゃないか。」
「そのかわりにお前が怪我することになるじゃねぇか。いつも言ってるだろ?従者を守るのが主たるものの務めだって。」

お前が気にすることじゃない、と言いエリオットはまた本に視線を落とす。

「でも…っ僕は君の足を引っ張りたくないんだ…!エリオットだって本当はもっと有能な従者がいいんだろうし…。」

そう、エリオットは優しいから口に出さないだけで本当は僕に愛想つかしているんじゃないか。
考えれば考えるほど悪い方向に頭がいってしまう。
おずおずとエリオットを見ると彼はぽかんと呆気に取られた表情をしていた。
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