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□「愛しい」が溢れ出して。
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「フミヤ、お前ちゃんと写真撮ってんのか?あと何日つった?〆切に間に合うのかよ」

「……青峰さんが心配してくれるなんて今日は槍でも降るんでしょうか……?」

「おまっ……俺がそんなに心配すんのがおかしーか」

「あいたっ……何回も言ってますけど僕の頭はボールじゃ…いたたたたっ」

頭をがしっと掴まれて力を込められると僕の頭は悲鳴を上げて、すっかり涙目になりながら青峰さんを睨むとまた力を込められて。そんな繰り返しをしているとたまたま通りかかった赤司さんが何をやってるんだ青峰、と咎めてくれて僕の頭は割れずに済みました。

「あ、ありがとうございます…赤司さん……、助かりました」

「どういたしまして。それより黒子俺もさっきの話は気になるな」

「?」

きょとん、と赤司さんの赤い猫のような目を見つめると苦笑して、なるほどあざといな、と感想をくれた(何の意味だか全く分かりませんでしたが)彼は、写真の話だよと言ってきました。

「ああ、写真ですね。撮ってますよ。それに大体は組み終わったので、そうですね…あと何日もないのに現像したものをお見せしていないのもご心配かけますよね…」

「まあ、そういうことだ」

うんうん、と頷く赤司さんと、そう言ってるだろ!と肩パン(地味に痛いです)してくる青峰さん。

「ちわーっス!あ、フミヤっちもういる!あれっスか?写真できた?」

フミヤを見かけるなり突撃してきて大型犬の耳と尻尾を出してくる黄瀬さん。その3人に写真写真と言われたら〆切の日…フミヤがバスケ部を訪れるのが最後になる日に大放出しようと思っていたのだけれど早めにしましょうか、と思ってしまって。

「分かりました。部室に置いてあるので取ってきます」

先週の土日の他校との試合の様子とか、ミニゲームの様子とかはまとめて現像してしまってるからいいでしょう、とフミヤは思った。

「えー。今すぐ見たいっスよー!ねぇねぇ、フミヤっち、その首から下げてるのデジタル一眼スよね!データ見てもいいっスか?」

だけど、ステイが上手くできない黄瀬さん(犬)がわふわふ言いながら抱き着いてきて苦笑する。仕方ないですね、と笑えばにっこりされて、フミヤは抱き上げられた。

「フミヤっち軽いっス…!ちゃんと食べてんスか?」

ダメっスよー、ちゃんと食べなかったら大きくなれないんスからねー。と母親が言いそうなセリフをシャラランとしたイケメンの顔で言われてフミヤはイラッとする。

「下ろしてください黄瀬さん。沈めますよ」

自分でもあ、よくこんなに低い声が出たな、と思うようなドスの利いた声で言えば、どこを沈めるのか、どこに沈めるのかもよく分からないだろう黄瀬さんはヒッと小さな悲鳴を上げて僕を床に下ろしてくれました。すんませんっス!と直立不動になっている彼を見て赤司さんがほぅ、やるな、と言って、青峰さんはお腹抱えて笑っていました。
小さいのも軽いのも余計です。

「……壊さないでくださいね。あと、力加減が出来なそうな青峰さんには渡さないでください。お願いします」

「そこは俺がちゃんと見てるさ」

あ、そっか。赤司さんがいるなら安心ですね、なんて言ってカメラを黄瀬さんに渡してデータの見方を軽く教えて僕は体育館を後にして、部室を目指しました。青峰さんがギャンギャン文句言ってたのは軽くスルーさせてもらいました。
途中、緑間さんと紫原さんに会って挨拶をかわして、両方から一緒に体育館に行こうよというお誘いを受けたのですが、部室に行ってからにしますね、と言えばしぶしぶ諦めてくれた。
ちなみに。

「…む、黒子弟、そこで何をしている?」

「え、廊下歩いてますけど」

「……そうではない。今日は部活に来ないのか」

俺も行く所なのだよ。折角同じ方向に向かうのだから一緒に行ってやらんこともない。…と、語尾の方は聞こえなかったが、ああツンデレ発動ですね、とフミヤは解釈した。

「いえ、今日も伺います。でも先に部室に行ってこようと思って」

「そう、か。では後で来るのだよ。あまり寄り道をするな」

「はい」

少しだけしょぼん、とした緑間にすみません、と謝ってからフミヤは部室へ向かっていった。

さらにちなみに。

「アララ、弟ちんだー。どこ行くのー、部活はー?」

「今日も伺いますよ。それよりも紫原さん、そのチョコの山は…」

「んー?チロルチョコだよー。これ食べながら一緒にいこーよ」

とりあえずオーソドックスな普通のからどーぞ。俺きなこの奴好きなんだよねー、という紫原に手をつながれて、口の中にミルクを突っ込まれる。

「あ、はいありがとうございます」

「よーし、れっつごー」

「って紫原さん、すみません。僕そういえば部室に行く途中でした!あとから、後からきちんと伺いますので」

「えー。そんなの別に明日でもいーじゃん」

なんてほのぼのしながら、自分の意見が通らなかったのが気に食わなかったぐいぐい手を引っ張る紫原に頼み込んで(まいう棒を明日も貢ぐというので納得してもらった)放してもらい、フミヤは部室へ向かっていった。


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