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□ご褒美デート
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数日後、誘いはなぜかお昼時に来た。
彼女曰く、真太郎君が試合とか合宿だったら疲れちゃって寝てるでしょ?とのことで、気配りのきいたメールには絵文字と顔文字がいくつも並んで動いていた。

「どったの?真ちゃん」

弁当食わねーの?と白飯をかきこむ高尾は、携帯をいじっている俺に疑問を抱いたようだ。

「誰も食べないとは言っていないのだよ。ただ、メールが来たから眺めていただけだ」

「いやぁ。真ちゃんがメールでそんな嬉しそうなの初めて見たからさー。いっつも、海常の黄瀬とかからメール来たら眉間にしわ寄せてんじゃん」

こーんな風に、と両手で眉間を寄せる高尾。
……いつも俺はそんな顔をしていたのか。

「だから相手は誰なのかなーって思ったわけよ」

「別に…。幼馴染なのだよ」

『了解したのだよ。俺からそちらに向かうから、家の前で待って風邪などひくな。中で待っていろ』
と返事を書いて送信する。
こちらは文字一色で、真太郎君硬派〜と笑われそうだ。
あとは、心配ありがとう…。と言われるかもしれない。

「真ちゃん幼馴染とかいたんだ!意外」

ぶふっ…と高尾は器用にも、弁当を咀嚼しながら笑う。

「俺にも幼馴染くらいいる。その言い方は心外なのだよ」

むっとしながら、弁当に向かう俺。今日の卵焼きも味が染みていておいしい。

「ごめんごめん。機嫌悪くしちゃった?高尾ちゃん謝る〜」

「フン…」

でもなぁ…。

「真ちゃんの幼馴染ってどんな人かなーって思うわけよ。真ちゃんと同じでおは朝信者なのかなーとか、ラッキーアイテム持ち歩いて運勢の補正してんのかなーとか。
頭キレキレなのなか、中学は帝光だったり?真ちゃんと一緒で努力家なら、バスケで一軍だっただろうなーとか。それこそ、カラフルな頭してんのかな、とかね」

ぶっちゃけ、俺のイメージは真ちゃん2号よ?と自分で自分の発言に笑う高尾。

「下らん」

ゆでたブロッコリーを口に運びながら、高尾の視線を躱す。

「で?正解は?」

おしるこ奢るから教えてよ。エース様の交友関係知っておくと、いろいろ役に立ちそうだし!と高尾は弁当を食べ終わって頬杖をつく。

「……」

「チャリアじゃんけんなくてもいいからさー」

「俺が負けることはありえん。今日のかに座はお前の星座との相性は良いし、上回っているからな」

緑間送迎用チャリアカー。
(HSKの)高尾和成がエースの相棒として毎日送迎用に使っている自転車とリアカーを連結させたものは、実は運転手はじゃんけんの負けた人。
そんな取り決めはどこに行ったか、いつも漕いでいるのは高尾だったりする。
俺がじゃんけんで負けるわけないのだよ。と、思いながら…。

『俺のイメージは真ちゃん2号よ?』

と言う高尾の顔を見る。
…真ちゃん2号と言われると…、黒子の犬を思い出すのだよ。あれは俺のリアカーに粗相をしたのだったな。
…。…あの後消臭剤を一本丸ごとぶちまけて高尾に呆れられたが、俺のリアカーだ。フン。

「……あれは黒子の犬のようなものではない」

「じゃあどんな奴なの?」

つかさず合いの手を入れてきた高尾に、俺は…。
少しだけ、千尋のあの夜の嬉しそうな顔を思い出した。

「おは朝を見ているのは見ているが、いつもというわけではない。ラッキーアイテムも自分の持っている範囲で補っているな。
頭は良いぞ。確か全国模試で上位になったことがあると言っていた。数学に関しては同学年に敵はいないと胸を張っていたのだよ…。
フン…、そのくせ、国語も得意だったのだよ。苦手なのは主要5科目以外だな。
努力家か…?あれはちゃらんぽらんで何を考えているか読めないところがあるのだよ。気に食わん。俺を上から目線でのらりくらりと躱すところもな。
部活動は何かマネージャーをしていたと思うが、競技は聞いたことがなかった。ふむ…、機会があったら聞いてやってもいい。
…頭髪は、昔からミルクティのような色だ」


「へぇー…。やっぱ、真ちゃん2号じゃね?聞いた感じそっくりじゃん」

真ちゃんに似てる人って居るんだな。と笑う高尾。

「似ていると言うなら、俺があいつに似ているのだろうな」

…何せ、千尋の背中を追いかけてついて回ったのは俺の方なのだから。



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