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□と大人の本
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「ふぇぇ……」
「…!(オロオロ)」
「ああカントク!千尋ちゃん泣かせんな!」
「きゃあっ!そんなつもりはなかったのに!」
ごめんなさい!とリコは千尋から離れた。
「私…そんなに、魅力がないんでしょうか…ぐすっ……」
泣きだした千尋に、まだ使ってないタオルを貸出ししてくれたのは水戸部で。
天使の可愛いお悩みに、これは…。
と思った2年陣は一人や二人ではなかった。
「いや。俺だったらこんな可愛い彼女がいたらムラムラしっぱなしだぞ」
「お前は黙ってろぉぉ!木吉ぃ!」
キリリ…と真面目な顔で何言うかと思えば、日向と伊月に思いっきりはたかれていた。
だが、これは…。と思っていた面々の総意をかるぅく言い放った木吉に、グッジョブ、とリコは親指を立てた。
「千尋ちゃんに魅力がないわけないわ!逆よ!可愛すぎるんだわ!
黒子くん、紳士なところがあるから、自分の欲求と紳士さとを天秤にかけてるうちにタイミング逃しちゃうのよ!ほら、名前だって呼べなかったじゃない!」
「「ああ、あったなー」」
せっつくように、先輩から!と名前呼びをしたのに、結局、海常の黄瀬が合いに来たハプニングでだったっけ?と誰かが言うと…。
赤裸々な自分たちの恋愛事情に、千尋は頭を抱えたくなって、実際抱えた。
「ふうむ。黒子も苦労してんだなぁ。よし!じゃあ、こうしよう!千尋ちゃんに俺のエロ本を貸してやる!」
「ハァア!?今の話を聞いて」
どうして、その思考回路に至るんだよ!と言おうとするのを…。
「…!いいえ。ある意味鉄平ナイスアシスト!」
とひらめいたらしいリコがとめた。
「千尋ちゃんは本を読んだら感情移入しちゃうのよね…?」
いつか火神君に聞いたわ。月バスでバスケ上手になったのよね…?
「…っ、り…リコ先輩……?」
なんか、怖いんですけど…!?
「黒子君と二人きりになれるイベントを作って。その時に、前もってエロ本で色気づいちゃえば黒子くんも我慢できなくなるでしょ!」
どーん!私ってばスゴイ!と胸を張るリコ。
「うーわ。黒子ドンマイ」
ズーン…。男の葛藤が分る野郎どもは、心の中でエールを送る。
「………それで、うまくいくなら……」
千尋も決心を決めたようで、小さく拳を握った。
「お願いします……。私……」
テツヤくんともっとお近づきになりたいんです…っ!
その言葉に全員残らずノックアウトされた。
((マジでこの子可愛すぎる…))
「よし!じゃあ、千尋ちゃんに似たモデルが出てるやつを貸して…!」
「ダァホ!なんでそんなの選ぶんだよ!千尋ちゃんは純粋天使なんだぞ!ちょっときわどいのがあるぞ、くらいで赤面しちゃう天使なんだぞ!自分に重ねちゃったらかわいそうだろうが!」
考えろ、ダァホ!
「いやぁ〜…、カントクはそれを狙ってるっていうか……」
カントクがテンション高いからいいけど…。あんまりアダルティーな話をしたら…。
「何でもいいけど、あとで部室に隠してるいかがわしいものは全部燃やすからね(はぁと)」
ほらきたーっ!
「ついでに明日の朝練2倍ね」
「それはキツっ!」
「文句言わないではやく千尋ちゃんに貸し出すもの貸し出しなさい!」
は、はぁーい…。
というわけで、十数分後、千尋の手には厳選されたエロ本が乗せられたのであった。
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