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□感情移入少女とプール
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「プール…?ですか?」
「そ!明日よ!私のパパのジムでね、プール練習やるから、千尋ちゃんも来ない?」
その代わり、朝早いけどねーっ!とリコは満面の笑みだった。
「バスケ部の特別メニューってことですか?」
あ、テツヤくんから聞いたことあるかも…。確か、リコ先輩のお家が、スポーツジムで、週何回か朝練で使わせてもらうんだって。
「そうそう!」
キラキラ、と輝くリコの顔を見ながら、千尋はうーん、と首をひねった。
「でも、練習なんですよね?私…参加するわけじゃないのに、行ってもいいんですか…?」
「もちろんよ!いつもは制服だから正確な数値が分からないけど、水着ならイケるっ!」
よっしゃっ!と拳を握るリコに、何か悪寒を感じて逃げの体制を作る千尋だったが、そんなのはお見通しですぐに腕をつかまれた。
「な…何のお話で…?」
「千尋ちゃんのキューティフルボディーをどう成長させていくかの、身体測定、よ!」
「ふぇぇっ!?」
「春から欠かさずボディタッチしてきた成果を正確に測定させてもらうわよ…っ!DよりのCが、立派なDに成長してるはず…っ!」
「リコ先輩っ、なんか遠くに行ってませんか!?も、戻ってきてくださいっっ!」
それに、最近胸の周りがきつくなったのはリコ先輩のせい(いや、おかげ?)なんですね!
「千尋ちゃん!明日、忘れずに水着を持ってくるのよ!私の家は分かるわね!?
わかんないんだったら、黒子くんと一緒に、ぜぇったい来るように!先輩命令だからね!」
「は、はいっ!」
リコ先輩のやや強引な説得で…やってきました。
相田スポーツジム…。
昨晩のうちにちゃんと、水着用意してきたんだけど…。だ、大丈夫かな…?
プールだし、水着だし、ああでも練習だし…。
(テツヤくんの前に水着で出ていくの恥ずかしすぎるっ…!)
「あの、お邪魔します……」
「あ?ウチ、今日休館日なんだけどなー」
おそるおそる入ってみると…。Tシャツでチノパンなおじさんとバッチリ目が合った。
「あ、リコ先輩のお父さんですか?初めまして、奥村千尋と申します。今日は、リコ先輩にプールに来てね!と誘われたのですが…」
「千尋、ちゃん!?君がリコたんvの行ってた千尋ちゃんかっ!」
「へ?は、はいっ!たぶん、その千尋ちゃんです」
リコたん…?うん、リコ先輩のことだし、きっと私のことも言ってあるはずだよね。
「プールはこっち。案内するから付いておいで」
「はい!ありがとうございます、リコ先輩のお父さん!」
にぱっ!と千尋が笑うと、いってた通りの天使だわ…。と顔をそむけられました。
「千尋ちゃん、リコ先輩のお父さんもいいけど、パパさんって呼んで!」
ヤローどもにお父さん呼ばわりされんのはむかつくけど、千尋ちゃんくらいの可愛い子なら寧ろオッケー、と謎の言葉をくれたおじさんに、千尋はぽん、と手を打って。
「あ、じゃあ…リコ先輩のパパさんですね!」
と、微笑んだ。
「リコたんの次にかわいいぞ、千尋ちゃん!」
「あ、ありがとうございます!」
数分のやり取りの中でわかったこと。
……パパさんは、リコ先輩を溺愛している。だ。
プールに行くまでの間、リコ先輩の可愛いところとか、頭がよくて、バスケ部のことをいっぱい考えてるとか、とにかく沢山リコ先輩のことを話してくれた。
そして、更衣室についたらついたで、リコたん呼んでくるから、着替えてな。と言われて…いきなり現実に引き戻された感じだった。
「うん、……水着……、変じゃないかな……?」
昨日いきなり言われて、わたわたとタンスの中をひっくり返していたら妹に目ざとく見つかり…。
スクール水着はあざといから絶対ダメ!というアドバイスをいただいたので、一番最近買ったレモン色のビキニを持ってきた。のだけれど。
(おかしくない…?大丈夫…?)
最後に着たときよりキツい感じがするのだが…あまりにも急すぎる。
水着自体はセンスのある妹に、お姉ちゃんはこれ!と言われたものだから似合っているとは思う…。のだけれど。
バタンッ!
「あっ、リコせんぱ…」
「きゃぁああっ!千尋ちゃんの水着っ!その姿かっわいぃーーー!!」
「きゃっ!?先輩…っ!首っ…」
ぐぇってなります…っ!
「しかも、数値が…見える、見えるわっ!やっぱり、少しずつもんだのがよかったのかしらっ!春より数値がっ!」
「すごい、すごい勢いでセクハラされてる気分っ!」
じぃぃ…と胸元を見つめるリコ先輩。恥ずかしすぎるっ…!
「それでくびれもあって…。ホント、綺麗な体だわー。よしっ、アメにはもったいなさすぎるけど、千尋ちゃん行くわよ!」
「ひぇっ?」
パシン、と腕をつかまれて…リコ先輩が入ってきたドアの方へ…。って、えぇえ!?
「ま、まだ心の準備ができてませんっ!」
「何いってんの!千尋ちゃん見たら、みんな卒倒よ!」
ただし、見つめすぎた奴から殺していくけどね!と怖いことを言うリコ先輩の後に続いて、プールへgo!させられた。
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