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□とハウツー本
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「あ、居た居た!千尋ちゃん、何読んでるの?」

「うひゃぁっ!」

「こーらー、逃げないのー」

ビクッ!ガタガタガタ…。
驚きすぎて椅子から転げ落ち、つかさず逃げの体制を取った後輩を面白がりながら、ショートの髪を耳にかけた先輩である彼女はふ、と机の上の本を見てニヤリと笑った。

「…リコ先輩ですか…ふぁ…びっくりしました…」

「あはは。驚かせちゃってごめんね?千尋ちゃん」

大丈夫?とリコはハキハキ喋る。

そんな先輩を見て千尋は首を捻った。

「大丈夫です…あれ、何でリコ先輩がここに?今部活中なんじゃ…」

リコ…相田リコは、誠凛高校バスケットボール部のカントクなのだ。

今の時間帯はもうバスケ部は活動しているのがいつもなのに…。と、千尋が言うと、仁王立ちになって薄い胸を張ったリコは確保!と言いながら千尋に抱きついた。

「ひぃっ!」

「そうよ?今から一年対二年でミニゲームをするからお姫様をお迎えにね」

「は…い?あ…の?どういうことですか…?ちょ…きゃあ!セクハラですっ!リコ先輩…っ!」

どこ触ってるんですか!とにやにや顔で絡みついた先輩に赤面しながら、きゃあきゃぁする千尋。

振り払おうにも相手が先輩なのと、千尋よりもリコの方が体格がいいのと、性格が大胆なのとが相俟って、なされるままにしかならない。

「細いわー。ウエスト57センチ…」

「ひゃぁっ!個人情報…!」

「そのくせバストが…」

「リコ先輩っ!?それ以上言ったら、私…怒りますよっっ!」

例え誰もいなくなった教室だとしても、誰がどこで聞いているのか分からないのだ。

赤面しつつ頬を膨らませた千尋に、その頬をつつきながらリコは笑った。

「可愛いわね、千尋ちゃん。ちょっと細い女の子の理想の体つきをしてるんだから自信持ちなさいね!」

「〜〜っ!リコ先輩は、何しに来たんですかっ!」

散々おちょくられた千尋とおちょくって満足したリコ。

誰が見てもリコの完勝だった。

「千尋ちゃんにセクハラするためにvっていうのは、嘘で、ミニゲームやるから見に来ない?ってお誘いよ!
この前ちょこっとしか顔出してくれなくて、すぐに黒子くんが連行しちゃったからね!女同士の話し合いがしたいのよ、うっふっふ〜」

千尋が初めて部活中の様子を覗いた時、黒子にマジで彼女居たんだ!とバスケ部中が上に下にの大騒ぎをしたのは記憶に新しい。

その騒ぎだけでも千尋は回れ右してダッシュで逃げたくなった。
だが、それより先に知らない人…しかも、長身の野次馬に取り囲まれてしまい、びくびくと肩を震わせるしかなかった。

その間から、斜め前の席の火神くんが見えたり、ときどき廊下ですれ違う降旗くんが見えて震えは収まるものの…。

立ってて、30センチくらい身長が違う…って!一つちがいなのにっ!と千尋はぷるぷるしていた。

だが、くっ付くのがおせーよ、と何でか知った風だった同じクラスの火神が、(女心を理解していないため)、助けるなんていうことはせず…。

助けてくれそうな、頼りの黒子も見つけることができず…。

いい加減泣きそうだった千尋の野次馬をイっスルひと吹きで蹴散らしたのは監督のリコと、悪態を付きながら、女子に罪はねーからと意味が分からないお言葉をくれたキャプテンの日向だった。

ついでに、千尋は、その時の反応が可愛かったから!とリコにすれ違う度に挨拶とセクハラ紛いをされている。

「でも、お邪魔しちゃって皆さんの集中は…」

削がれたりしませんか?と…前回の興味津々の反応を思い出して、千尋は首をすくめた。

「あー、大丈夫大丈夫。もうそんなん気にする奴いないから(なんたって、アタシが黒子君エビ反りの刑にして吐かせたからね。それで、助けに行けなかったとか言ったら怒るかしら)!
ね?お話しましょ!千尋ちゃん。黒子くんとどこまで行ったか気になるしー」

ぐふふ。と手を口に当てるリコは、連れて行く気満々で千尋の腕を引っ張る。

拒否権はないようだ。

「喋るような進展はありませんっ!//一緒に居られるだけで十分なんです。それに、私は頑張ってること(黒子君のバスケ)、応援したいから…」

「そこで部活のことを考えてくれる千尋ちゃんが好きよ!なんなら相談も可だから、ほらほらlet's go!」

本は持ってね!とバッチリ恋愛ハウツー本を見られて顔を赤らめた千尋だったが、次の瞬間にはまた叫んでいた。

「そんなに引っ張らないで…きゃあ!胸揉まないで下さいぃ…!」

あきらかに引っ張る…というより、手が当たる部分がおかしいと思っていたら遅かった。

「うーむ、DよりのCカップ…」

「にゃあぁあっ!//」

個人情報ですってばーっ!


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