マリオネットとワルツを

□作品番号Op.8
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(雑音が多すぎて眠れない――)

「人殺し」「お前ら危険能力が裏で何をやってるか…」

……だまれ

「棗これは”任務”だ」

うるせえ消えろ

「――逆らうな」

みんなみんな消えちまえ
ヘドロみたいにこの悪夢はいつまで俺にまとわりつく気なんだ…?

「――もしお前が逆らえば…そのときは…」

悪夢に終わりはあるのか……

『お父さん、君たちのこと、心配してたよ…?』

……お前のことを…信用して、いいのか……



この日、学園に激震が走った。

「確かに俺はきいたんだ…アリス祭3日目の「イベント祭」で、そのメインゲストにアリス出身のあのハリウッドスター「レオ」が予定されてるという事をっ!」

どひゃーー!なにぃーーっ!うそーー!
超聴覚のアリスを持つ、眼鏡マッシュが職員会議で話されていることを”聞いた”。

「しかも、だ。その『レオ』が何と今日、この学園の付属病院にステージの下見がてら隠密に検診を受けにくるという情報を手に入れたのだっ!!」

ギャヒーーーンッ
蜜柑をはじめとするB組初等部内部は悲鳴を上げた。蛍でさえも。
ふっふっふ、と満足そうな超聴覚の子も含めて…
学園(いや、生徒共)はパニックに陥った。
教師陣は一応秘密ということにしておいたのだけれど…、本部の前にはすでに中等部、高等部のミーハーな生徒たちが潜伏していた。
だもんで、これ以上手を煩わせないように…初等部では(数名を除いて)恐れられているジンジンから

『本日用もないのに本部付近をうろつく者、重罰に処す』

というおふれがでた。

「……集中できないなぁ……」

はぁ…、とため息を出したのはセントラルタウンで買い溜めしておいた布類を…手の早さが見えないという神がかり的なスピードで縫い合わせている孜だった。
会話転換のための人形制作はこの前やっと本腰を入れ、委員長にくまの人形を、蜜柑にはねこの人形を、蛍にはうさぎの人形を作っていて、素材の彫りだしを大体終えた孜は次の段階に入っていたのだった。
勿論、他のクラスメイトの会話は耳に入ってきていて、レオはアメリカ滞在中も新聞をにぎわせただけあって見知ってはいた。
だからといって…見たい、会いたい…というお子ちゃまな考えは毛ほどもない。

(…生意気な年下には興味ないのよね…あくまで純朴系な子が好きなの…!)

ということらしかった。



 
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