マリオネットとワルツを
□作品番号Op.2
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ゴロゴロゴロ…
大きなスーツケースを引っ張りながら、鼻歌を歌っていた。
たった今アメリカから日本に帰ってきたばかりだけどあっておきたい人たちがいる。
だから疲れを押してその足でとある町に向かっているのだ。
(それにしても…秋だというのに日本は暑いな)
そんなことを思いながら。
日は高く上っていた。
目的の家は小高い丘の上に建っていた。
(きっとびっくりするだろうな〜姉さんも義兄くんも)
それが楽しみでしかたない。
ポーン♪
チャイムを鳴らして一待ち。ここで無作法に何回も鳴らしたら悪いでしょ?
「はーい…」
出てきたのはぼさぼさの髪と無精髭、よれよれのTシャツ・ズボン姿の男の人。
(来る場所間違えたかな?)
「か…馨さん?」
(いや、間違っていなかったみたい)
「…違うな、馨さんはこんなに髪が長くないし…それに、7年前に…死んだんだから」
「え…」
何それ、姉さんが…?死んだ…
「ちょぉっ、その話詳しく聞かせてくれるやろ?!」
だめだ、わけがわからなくなってとっさに関西弁が出る。そうじゃない、違う。
「あっ…その前に…貴女は…っ」
「透!五十嵐透!馨の…妹だ!」
透は彼の肩を揺さぶった。
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