マリオネットとワルツを

□作品番号Op.16
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ずっと、棗君は「決して笑わない人」だと思ってたから、それがとても印象に残っていたの。

(あ…)

「…先生」

やさしいまなざしの向こうに、棗君は何を見ているのかしら。

「棗君の隣のあの女の子は……」

「ああ、あれは棗のパートナーの、たしか……『佐倉蜜柑』」

(「さくらみかん」……)

出口の見えない暗いトンネルの先に、棗君は何を見つけたのかしら……。



「ねえねえ蜜柑ちゃん、明日のクリスマスパーティーの準備の日、蜜柑ちゃんどっちの班に入るー?」

「えー、班?」

拝啓じーちゃん、アリス学園は冬休みです。
――とかいう甘いところではありません、アリス学園は。ちゃんと、12/22まで授業…。

「はい、私語厳禁!」

バコン

「あうんっ」

蜜柑と野乃子ちゃんと話していたところ、黒板消しが蜜柑にクリーンヒット。マッキーの黒板飛ばし捌きが見えません。もはやプロです。

ということで、HRでは…。

「明日は小、中、高生徒総出でパーティーの準備の日でーすv楽しいパーティーにするために頑張りましょう!巨大ツリーや会場の飾り付けを担当する「飾りつけ班」、巨大クリスマスケーキやパイ作りを担当する「ケーキ班」。この二手に分かれて明日は作業してもらいまーすv一応、版木目は立候補や推薦も受け付けますが、一方に希望者が偏ったりしたらくじ引きで決めまーすv」

もはや突っ込む気力もなくなるようなナルの服…。ではなく、クリスマスの準備の話でもちきり、初Bのみんなもクリスマスの準備に熱が入っていてはしゃいでます!

(いや、ナルもはしゃいでるんだけどさ)

どうなの、その女物。フリル、王冠…。いや、似合うけどね…?それとこれとはちょっと別問題…。

(巨大ツリー!?巨大ケーキ!?)

キラキラキラ!アリス学園のクリスマスパーティーは文化祭に負けず劣らずなんかたのしそーー!!蜜柑も例外なく、ワクワク。そんな中で、孜はというと…目に見えない手さばきで毛糸を編みながらため息をついていた。

(めんどくさ…)


そして、次の日。

「よー、蜜柑。お前もケーキ班か」

「翼先輩―!」

コートも着たまま、見つけた翼先輩に声をかける蜜柑。その周りには、ぐりぐら〜。巨大ケーキに目がないメンバーがまだ見ぬ巨大ケーキに思いをはせているようで。

「ケーキ班はいつものメンバーというわけね」

2班に別れての行動…、ケーキ班は蜜柑、蛍(ケーキ命!と書かれたたすきをかけている…)、いいんちょ、野乃子ちゃん、アンナちゃん…と?

「お、めずらしい。棗にルカぴょんもケーキ班か。てっきりケーキ班派じゃないと思ってたよ、意外―」

へぇ〜、と翼はむっすりしている棗と…。

「……うっせー、影」

ルカぴょんをみた

(!)

「ははーん、さてはルカぴょんケーキじゃなくて蜜柑に釣られて…」

そういうことかー。一人合点してとやにやする翼、と後ろには美咲先輩。同じく状況を悟ったようでにやにや顔である。

「う…うるさいバカ!だ…だまれ「ハゲ」!あ、ちがった…えっと…この「カゲ」!//えっと…お、お前みたいなヒキョー者に…」

…、可愛い、可愛いよ、ルカぴょん。

「「………v」」

なでなで。

「……」←その様子を見て、何か言いたげな棗。

「何か翼先輩とルカぴょんて仲ええなー。いつのまに…」

何でもいいからルカをあたたかく見守る会が発足したからですよ、蜜柑ちゃん。
いやー、本当、ルカぴょんて可愛いね。いっそ俺の養子にしちゃいたいよねー。ほら、息子だったら合法的にセクハ…(げふんげふん)なんでもない、です。…今、本当の甥っ子にじっと見つめられた気がします(そんな憐れんだ目で見ないで!)

「それにしても…すごいなー、この建物。わー、初めてきた」

鹿鳴館?

「ここが毎年クリスマスパーティーが開かれる本部の迎賓館だよ」

いいんちょの説明久しぶりだなぁ。あ、コートとかばんは邪魔になるので預けてきました☆

「……っ、わわ…わーーーっっ!!」

木―――!!
あまりのデカさにながれる♪この〜木、何の木…♪

(蛍ちゃんも何気にクリスマスは初めてなので巨木に驚いてるのね)

…クリスマスの木っていったら決まってるけど、明らかにその範疇超してまっせ。

「あれがアリス学園のシンボルクリスマスツリーだよ」

「毎年あんなでっかい木、どんな手使ってこの建物の中に入れてんのか謎なんだよなー」

ま、それはアリス学園ならではなんだけどさー。と言いそうな翼先輩。
ケーキ班と違ってすでにクリスマスツリーの飾りつけ班は始動していて…。あっ、キツネ目君とパーマや!などなど、蜜柑が見つけられるほど知り合い率高い…じゃなかった、活躍しているようです。

「こーゆー準備(飾り付け)とかは大体フライングとかテレキネシスとかが大活躍で引っ張りだこなんだよなー。俺らのアリスは役立たずっつーか」

だからケーキ班というか。いや、手伝いは強制参加なんだけどさー。文句というか長い目で見てる翼先輩はさておき。
あ、岬先生っ!ドシン…はっ、ピヨ!?って、卵。小鳥ちゃんなのに卵!?……。ルカぴょんと、小鳥←ちゃんの運命のいたづらの再開があって…。

「ルカぴょん初めからあっち行ってた方がよかったんちゃうの?」

「……」

やむなく、ルカぴょん移動。…そして、活躍。……、麒麟とか、いつ迎賓館に入ってきた?…ケーキも同じ場所で作るんですけどー。おいおい。

「蜜柑そういうこと言っちゃダメ…。つーか、今の場面なら必ずツッコミ入れる孜は?姿見えねーけど…」

キョロ…。

「あ、孜君は…」

心配してくれてありがとう、翼先輩(ほろり…)。そう、今まで突っ込んでたのは、代理孜(時々透もいたけど)なのさ!
本体はというと…。


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