マリオネットとワルツを

□作品番号Op.15
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と、言うわけで『誰のプレゼントが一番棗君に喜んでもらえるか合戦』の火蓋はこうしておとされたのでした。

「では一番に選ばれた人への特典ですが」

「何だよ特典て…」

ナル…余計なことしか考えないなおい。

「ハイハイ、一番に選ばれた人が最下位に何でも命令言いつけることができるってのはどーでしょう」

「「はーい、いいと思いまーす」」

「…」

「何でこうなったの…ねぇ、ルカぴょん」

はぁ、とため息をつかざるを得ない。

「うん…炬口もそう思う?」

ぽつんと棗を1人残して、いつの間にやら…。

「最高のプレゼントを用意するんじゃーっ!」

プレゼント合戦に発展してるなんて。

「俺は単純に棗の誕生日祝いたいんだけどなー(11年分)」

「!//棗喜んでくれるといいな」

メラメラについていけない2人の間をウサギンがぴょんぴょん跳ねる。

「ルカぴょん、何か棗がほしがってる物ってないかな?とりあえず10個ほど」

「…棗の部屋って余計な物置かないから…炬口も10個も買ったら佐倉じゃないけど、お金足りないんじゃ?」

あー、うん。炬口孜だったら毎回☆☆(ダブル)の小遣い分じゃ(例え学園祭の利益も加えても)足りないね〜。

「日向さん、とその親戚(←)からも棗にあげてって言われてる、から?お金はある」

かなりある。宝くじの特等賞が数回当たったくらいはある←

「おじさんに…」

「だから、ルカぴょん協力してほしいな〜なんて」

「俺に出来るならいいよ」

手紙を渡した件を覚えているらしいルカぴょんが満面の笑みを浮かべて応じてくれた。

(幸せっ…!)

棗が喜んでくれるもの。
贈る相手のことを思ってするプレゼント選びはあれやこれやと考えを巡らせて大変やけど、その相手が大切な人であるほど、それはとても大切な時間に思えるから……。

(ねむ…)
す…

ガタ…
あれは…!?

『…棗、自分はいつか自由になれるかもなんて思わないことだ。調子に乗るのを見過ごしてやるのもそろそろ終わりだ。闇の歴史はこれまで通り…お前だけがそこから逃げきれるなんて、まさか思ってないだろうな…』

ごし…
(錯覚…?)

「棗くーんv1人で待たせたりしてごめんなさーい。私達やっと用事終わったからどっかでお茶でも…」

「……」

「…棗?」

「…ルカ、帰るぞ」

「あ…棗!?」

スタスタ…

「あれ?…棗もう帰んの…?」

その顔は何だか強張って居るようにも見える。
孜は辺りを窺った。
その片隅に、黒い影…。

(…!…零か)

チッ…。

(クリスマスくらい自由にさせてよね…)

相変わらず忠犬なんだから、アイツの。

(…釘、刺しとくか)

棗の心の扉が開きかけてるのに、無理矢理閉じられてはたまったもんじゃない。



カチャ…

「「おめでとーっっ!!」」

パン…!
先回り!
あ、棗かたまった。

「な…棗君ってばもー」

「……」

「いきなり帰るとかゆーんやもんー」

「先回りしてパーティーの用意する時間なくて困っちゃったよー」

ぜいぜい

「「ハイvこれがプレゼント。この中から一番気に入ったものあったらゆってねー!」」

何なんだこいつら…

「……」

ごっつうさんくさい…。
アホ共何企んでる…。

「すいません棗さん、何か変なことになっちゃって…。あ、これ前棗さんが読みたいとか言ってた漫画…」

「あーぬけがけー!いがぐりいがぐりー」

ひーん、持ち上げられてるわ…。
くいっ、くいっ

「あげゆ…プレゼント…」

「へー棗君の似顔絵かぁーvよーちゃんうまいねー…」

「……おめれとー」

「……サンキュ」

なでなで。
あ、なんか微笑ましい光景…。
あ。翼のプレゼント選んだ。
お。速攻でテーブルに叩きつけた。

(…割と楽しんでるな。棗)

「あ、星の砂の砂時計だー」

「(こそ…)ルカぴょんのだね」

「…//」

「一番決めた」

え。

「これ(似顔絵)とこれ(砂時計)」

ああー…やっぱり。
サクッと一番は決まったのでした。


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