マリオネットとワルツを
□作品番号Op.11
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その日私・透は葛藤していた。
今目の前にある衣装を着るべきか否か。
アラビアンとは知っていた。
美咲先輩が仕立ててくれていることも。
しかし。しかしだ。
いくら成長する前の微乳娘だとしても、さらしも巻かずに乳首チラ見せってどーなのよ。
軽く犯罪になりません?
「孜くん?何固まってんのー?もうみんな着替えとるよーっ!はよ準備せな」
「あー…うん。もうちょっと待ってくれる?蜜柑ちゃん。サイズがあわなくて」
くそぅ!こんな事になるなら入院紛いなんてするんじゃなかったよ!
最初からしっかり訴えておけば翼先輩と同じタイプの衣装にならなかったはずだ!
「えー?ぴったりやんかー。どこがあわんの?」
蜜柑ちゃん。下(ズボン)の話じゃないんだ!
これは男装生命がかかってる一大事件なんだ!
「そういう蜜柑ちゃんは立派なランプの精だよね!可愛いよ(にっこり)」
ボン
「な、誉めても何も出ぇへんよっ?!//孜くんっ!兎に角急いでな!」
顔を赤しながら更衣場から離れていく蜜柑ちゃん。
よし、追い出し成功だ。
いつだって笑顔はオレの味方さ☆(←あまりの事に頭がおかしい)
「アリス祭のバカヤロー!」
10年くらい体験したけど、こんなに慌てる事は初めてだい。
「……かくなる上はタンクトップでも下に着て誤魔化すしかないな…」
さらさらした水色の衣装。
暖かい体育館。
デカいセット。
中等部の先輩方が中心になってやって出来たこれらは全て…
「アリス祭、模擬店祭な。ウチは傍観者でよかったんに…蜜柑ちゃんが気張るから」
あぁそうだよ。いつものように巻き込まれたよ。
それは遡ること昨日。
最終調整を兼ねた特力会議での出来事…→
『じゃ、このローテーションで持ち場移動して明日頑張ろうぜ!』
『「おー!」』
『…なぁ、翼先輩。これやと孜くん休む暇ないよ?ずっと歩き回ってちゃしんどくない?』
『はは。確かにそうかもー。どうしてくれるんだよ翼ー』
『先輩をつけろっての。でも蜜柑が言うことも確かだな』
『じゃあ、1時間くらいアタシと交代する?ドッペルで隅見回りすればいいだろ?』
『な〜る。美咲先輩ナイスアイデア!』
『え…てことは俺中で問題出せってゆう…』
考えんのめんどくさい。と申告するとメガネ先輩がアドバイスをくれた。
『孜ちゃんはさー「30秒以内に1歩でも動いてみせること」とかどう?』
『うわっ、それクリアできねぇ!鬼だ!』
のだっち亡き後被害を主に被った翼先輩が悲鳴をあげた。
『いーじゃん誰もクリア出来ない方が。外回りったって孜ちゃんのランプも有るわけだし☆』
『はぁっ?』
聞いてないよ!
ギロッ
『…美咲先輩?』
『…あはははー。ゴメン』
てな訳でありまして。
知らぬが仏…と言うことを身を持って知ったよ。
「蜜柑ちゃん、誰もゴールさせちゃアカンからな?」
と凄みを利かせて呟きながらやっとのことで透は着替え終わった。
「お待たせー」
「「「おーっ」」」
特力お姉様方から歓声をいただいた。
モテる男(←)は辛いぜ。
「かっこいーじゃん、孜」
「そやなー//」
美咲先輩と蜜柑ちゃんにも誉められた。
(ま、こんなんじゃ女だ、ってことは当分言えないか)
嬉しくもあり悲しくもある。
…
「ルカぴょん〜っっ」
「うわっ!?炬口!?」
無情な30分明けの客=ルカ・スミレ・杏樹を迎え入れたに事足りず、透は抱きついた。
「おい、孜。ルカぴょん窒息させるな〜」
翼先輩が止めなきゃウサギンの心配が…。
「はいはーい。ナル、2人の衣装は?随分ゴシックで可愛いんだけど…うさ耳ねこ耳。萌え」
「(萌えって;)2人はティールーム『アリスのお茶会』の店員さんだよv『3月ウサギ』と『チュシャ猫』風」
「あっパーマもネコ耳やっ!犬猫(体質)なだけに(笑」
翼に抱き上げられた蜜柑が笑う。
「あんたこそ何よそのへそ出し!」
「まぁまぁご両人喧嘩しないで。どう?スミレちゃん。このままオレとアラビアンナイトを過ごさない?(くいっと顎を持ち上げる)」
「は、は、はぃぃっっ!!//」
後日談。
その時オレはすごい量の花をバックに咲かせていたらしい。
「じゃーん!ウチはランプの精でーすvどう?ルカぴょん」
「魔神だろ?」
「え…っ//どうって…。……;」
「「「……(にまにま)」」」
何かを察した人々。
「入ってみようよ!」
「ナル、900円」
手を出す孜。
にこやかな笑みを浮かべていた。
「言い出しっぺが責任を取るべき。300円×3人。毎度あり!」
「…;どういうルールなの?」
「簡単に言うとアラジンが迷路に入り迷路に散らばる俺ら特力メンバー演じる魔人を倒しゴールに行くってだけなんだけど魔人を倒すにはルールがあるんだ」
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