願いを流れ星に込めて

□星二十五夜
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「それで…お話とは?」

半分ほど飲み、千悠は切り出した。
伏し目がちだった久遠寺の瞳がこちらを刺すように射抜く。
お茶は温かいのに、千悠は足が震えだした。
怖いのだ。
目線は同じでも、はるか遠くから見下ろされているような、そんな感じ。
カチャ…、カップを静かに置く動作の後、久遠寺は足を組み替えた。

「一昨日は特力の模擬店祭に、今日は体質系のミュージカルに参加をしたそうだね」

「……はい」

原因はそこか…。
と、なれば、罰が下るのは定石。
だって、危険能力系は「一切の参加を許されない組」だから。

「罰は受けます…。だから、その方には何もしないでください」

「おやおや…私はまだ何も言っていないのだが。千悠、私はそのことを罰する為に君をここに呼んだわけではないのだよ。寧ろ、君には喜ばしいかもしれないね」

千悠はごくり、とつばを飲んだ。久遠寺が…悪寒を覚えるような笑みを浮かべているのだ。

(何だ…。何が…)

思い当たることが多すぎる。そもそも、『大気のアリス』だけでは出来ないようなことを、ここ最近使いすぎてしまっている。
昨日、潜在系代表に勘付かれたかもしれないのが否めない。
唯一の救いは、彼が学園総代表ではなかったこと。彼は『直感のアリス』を持っていた。
しかし、一番問題なのは、ペルソナと棗に使った『アリス』だ。少なからず、あいつは何かしら疑問を持ったことだろう。

「千悠、君がアリス祭に関与したことを許してあげよう」

「…ありがとうございます」

「ただし、君にはアリス祭終了後、すぐに任務に発ってもらう。一日、二日で終わるものではない。一週間は見込んでもらう」

……そうなったか。



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