願いを流れ星に込めて

□星十六夜
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潮のにおい…、鉄の錆びたにおい…
誰かの…吐息………

「う“…。……っつ!!」

な…棗っっ!?驚いた蜜柑の肘がパーマの後頭部にあたり、パーマが目を覚ました。

「くるくるパーマ…っ!」

蜜柑は必死に状況を理解しようとしていた。

(千悠ちゃんは…!?)

もう一人、誘拐されたはずの千悠の姿が見当たらない。

(ここ、どこ…倉庫っぽいけど…)

「おい、ガキ目覚ましたか?」

(今の…レオの声…っ)

「……まだです」

とっさに寝たフリをした二人。

(そうやあの時…ウチらもレオに誘拐されたんや…)

「あ、組織の方と連絡とったんですが…」

「なんて?」

「本日の玲生さんの行動について思慮に欠けるとほかの幹部の方々、お怒りの様子で…」

「…だから言ったでしょう玲生さん。あくまで俺達は学園の内情を探るだけの使命しか…」

「何が「思慮に欠ける」だよ。こんな千載一遇のチャンス、あいつらだって同じ立場にいたら絶対そうしてたくせに」

(何この会話……)

「…彼は何て?」

「連絡時にはご不在だったので…」

「なーんだ、つまんないの。「黒ネコ」と「殺戮女神」を手に入れたってきいたらあの人どんな顔するだろうって楽しみだったのに。ま、余計なオマケ2匹もついたけどさ」

「玲生さんの顔は世界的に売れてるんですからそんな事で足がついてすべて台なしになる事を組織は危惧してると。もう少し全体を見て行動を」

「あ――ハイハイ」

(組織って…)

「大体あんな芸能活動、彼の命令でなかったらいつやめたって構わないんだ」

「玲生さんは本当にボスがお好きなんですねえ…」

髪を弄る玲生の肩を揉んだ部下は裏拳をかまされた。




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