願いを流れ星に込めて
□星十二夜
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「政府の要人やらいろんな方々が見にくる大事な学園祭だからな。「くさいものにはフタをする」お前らみたいな奴を表に出すことの危険さを学園側もよくわかってるってことさ」
(…お前らの中に…千悠も入ってんのかよ)
「ま、お前らみたいな奴らフツーに参加させてもらえるだけでもありがたく…」
ボッ…
「わーーーっ」
「…ワカメ頭からもずくに変身だな」
火をつけられた正田兄はまた水―っと叫んだ。ぼそっ、といわれた言葉には…怒気が含まれていた。
「(棗…)…棗?」
ガチャッ…
扉を開けてどこかに行こうとする棗似るかは呼びかけた。
「…気分ワリーからどっか行ってくる」
「……わかった」
(きっと…千悠のトコ行くんだな…)
棗の使用としていることがわかる自分はちょっとだけ人より誇らしくて。ルカは閉まったドアを少し微笑んで見つめていた。
コンコン
反応なし。
(寝てんのか…?)
コンコン
(返事しろよ)
「……だれ…?ナル…?」
「…俺だ」
ととと、と寄ってきた足音がぴたっと止まった。
「俺って言う人は知りませーん…」
「……(めんどくせーな)…甘いもの持ってきてやったぞ」
ガチャ…
腕一本だけがドアから出てきた。
(…コイツ!俺と会う気がねぇっ!)
「…お見舞いありがとう、棗。甘いのありがとう…で、早く帰れ。ルカが心配する」
「…もう学園祭の準備が始まっててルカも体質系につかまってる」
……長い沈黙が流れた。と、思ったら、千悠が紙袋に入ってる甘いものだけちゃっかり奪ってドアをバタン、と閉めようとした。
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