願いを流れ星に込めて

□星十一夜
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―――――
……杏樹………
一人で……宇宙の中……は…寂しいから……
―――
………先輩………
柚………
盗み…リ……
……先……無効化………
――――
お願いよ、ナ……
みかん……みか………
―――――――――――――



千悠は飛び起きた。お腹には多分、運転手がかけてくれたのだろうブランケットがあって、

(絶対にペルソナじゃない。というか、ペルソナに触れられそうになったら起きる)

夜はとっぷり暮れていた。車はどこかに止まっていて、ペルソナの姿はない。運転手もいないところを見ると車の中には千悠一人だけ、ということになる。

「はぁ……」

千悠はため息をたっぷりついてから、なくなった指輪がはめられていた指を見た。爪の色が濃い藍色に変色していた。

「この指輪の代償は大きいわね…。でも…たかが指輪一つで制御しきれないなんて。あぁ…この指輪に込められていたのって…早くしないと眠れないわね…」

ドッジボールで不慮とはいえ蜜柑に壊された指輪は、れっきとしたアリス制御アクセサリーだった。流架や蜜柑や蛍ちゃん、飛田君はつけてないけれど、棗は両耳につけていたあれである。ナルも耳だけど、ペルソナなんて最悪。両手と両耳にすごい数のアクセサリーをつけている。じゃらじゃらした感じは否定できないけれど、千悠は下手すればそれを超えるし、どんなに小さい子がしていてもアリス学園なら許される。

「セントラルタウンで新しいのを見繕わないと…」

千悠が使用しているアクセサリーは日替わりでデザインが変わったりするけれど、全部並べてみればそれだけで店が出来そうなほど多かった。
今回、蜜柑に壊されたのは、特別にアリスの制御率が高かった奴なのだから埒があかない。

「”夢渡りのアリス”繋がっていたのは誰だろう…」

聞き取れた言葉と映像に激しく自分に近い人がいたのは気のせいにしておきたい。

「無効化、みかん…杏樹…」

しかも、最後の誰。

「あー!やだやだ。これ、不明確で嫌いなのに!また寝たら今度は夢喰いとかでてきそうでいやっ!」

(今度…分割して大きいのを少なくしよう…それなら壊れても数が多いから大丈夫)

奇声と共に千悠は頭を掻き毟った。任務に行くと、制服のままだから、アリスの人が経営しているところでなければ泊まれないから気持ちが悪い。

「こっちはか弱い女の子だってー!」

意識すると、尚更お風呂が恋しくなってきた。お腹もすいてきたし。

「ペルソナ早く帰ってこーい。どっちかというと運転手の方がいいけど、このさいお前でもいいからご飯とお風呂が欲しいよーー!」

「学園に変えるまで辛抱しなさい」

びっ!

ビビった。いや、早く帰って来いとは言ったけれども、ここまで早く、とは思ってない。

「……じゃあ、ご飯」

車に乗り込んだペルソナは、見越していたかのように色々と渡してくれた。腹が減っては、戦は出来ぬ。お腹が減ったら私だって、嫌いな奴にだって少しは謙るんだよ。


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