願いを流れ星に込めて
□星四夜
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「…とは言っても、森は広いしいったいどこにいるのかわかんないよねー!」
興味本位で森の前に来たものの、そもそもが広大なアリス学園で、しかも迷えばわからなくなるような森で小学生3人を見つけるのは無理難題だった。
「どうしようかな…段々面倒くさくなってきた…」
(アリスを解放したらすぐわかるけど…)
それは不可能だ。
千悠に付けられている制御アクセサリーの数は耳や指、腕を合わせて常時数十、変えもあわせれば小さな店を開けるほどである。それらで千悠は自分のアリスを完璧に封じている。正攻法で唯一彼女がアリスを使用を許されるのは白いベネツィアンマスクで限定的に制御を緩めるときだけ。
(…あそこに寄っていったん休憩してから考えよう)
あそこ、とは…。
「ベーアー」
北の森の中、千悠の小さな友達のところ。
「あれ…?いない?」
でも、薪割りの途中みたいな感じだし…仕事を完璧にこなす彼からは考えられない。
ふにゅ…
「…なんか踏んで…ってベアっ!!?何で水浸しになって…っ」
ぐてー、としているベア。確かベアの材料は布と木屑。
「しっかりしてー!」
部屋に入って暖炉の前に移動する。
そして数分後。
千悠の腕の中にちょこん、と座るベアの姿。
「もう大丈夫だね、ふわふわに戻ったし」
頭をなでてあげると少しだけ嬉しそうに首をかしげた。
(可愛い可愛いー…)
可愛いものには目がない千悠。
お礼と言わんばかりに紅茶と茶菓子を運ぶベアを本気で拉致しようかと思ったとき…
「あっ、千悠!」
「ルカ?」
「大変なんだ、北の森の動物たちが…っ!」
全力疾走してきて、息があがっているルカが立ち止まった。
「…まさか蜜柑たちが…」
「とにかく一緒にきて!」
「…わかった」
ベアに「また後でね」といって、千悠はルカとさらに森の奥に進むことにした。
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