願いを流れ星に込めて
□星三夜
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「……何言ってんだこの女。痴漢ってのはバカが下心もってやるから「痴漢」なんだよ。お前相手に下心もくそもわくかよ。バーカ。ま、コイツとかなら別だけどよ」
クイ…と親指を向けた先には千悠が座っていた。
「うさぎさん紅茶ありがとね」
棗の取り巻きが口々に蜜柑のことを聞き出そうとしているが、そんなことは丸無視でうさぎにいれてもらった紅茶を流架と飲んでいる。
「よ…よくも女の子にあんなことしておいて女の敵っ!野蛮人っっ!!
謝れバカ―――ッ!!何えらそうにふんぞり返って…」
生徒達が蜜柑の怒号に止めたほうがいい、と言っているが…もう遅い。
「おい転入生。棗さんに何調子こいた口聞いてんだ、コラ」
遠隔操作のアリスの少年に蜜柑は持ち上げられた。
「や、やめてよみんな!かよわい女の子になんて事するんだよっっ。止めてよ日向君―っっ!」
委員長が一生懸命講義しているが、委員長に靡く棗じゃないことは暗黙の了解で。
蜜柑は空中でじたばたしていた。こんなときは先生が場を納めるべきなんだろうけれど、副担任先生はふらり、と倒れてしまっている。
「あら、やめる事ないわよ…さっきからアリスと思って黙ってみてれば何?この子」
「正田さん;」
「棗君や流架君の事バカ呼ばわりしてたじゃない。こんなの優しすぎるくらいよ、ねえ棗君!」
「……降ろせ」
「はい棗さん」
「…そういう優しい所も私、棗君の魅力だと思うの♡」
ころっと態度が変わる彼女の名前は正田スミレ。棗・流架・千悠ファンクラブの会長である。
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