願いを流れ星に込めて
□星一夜
2ページ/6ページ
「ちょっと待った♡」
塀の外でアリス学園に入学志望者の少女がみるからに「詐欺師です」のチャラチャラした男二人組みについていこうとしていた。
それに、声をかけたのはよりチャラついた…けれど美形な男。
悪く言うと、おカマ臭が漂っている。
「その子猫ちゃんをどこへ連れてくつもりかなー♡」
その男が喋るとアハーン(効果音)がどこからか聞こえる。
唖然とする少女と男二人。
少女にいたっては完全に引いていた。(無理もない)
「何だ、お前っ」
先に現実に戻ってきた男の片割れが、詐欺行為を邪魔されたことを少しならず不快に思っているらしくガラの悪い目つきで男を見てきた。
「何って…アリス学園の教師(センセイ)♡」
「「「うそだっっ」」」
三人に言われ、あれーん?なんて言う自称センセイは、格好つけながらやんわり三人を引き止めていた。言葉に現実味を失わせる要因でもある。
しかし、詐欺師たちが少女をどこかに連れて行こうとするときになって、自称センセイは一息つき、ツカツカ寄ったと思ったら腰に手を当てて、真面目な顔をした。
『さ よ う な ら♡』
一音一音区切って発せられた先生の言葉は、甘い毒のような雰囲気をかもし出し…
「は…はい…」
男たちの顔を真っ赤にさせて、退散させた。
その言葉の対象外となっていた一人、残された少女だけが、ぽかん、口をあけている。
『危ないとこだったね…♡ 君も早くおうちに帰んなさい♡』
にこり、と笑うセンセイ。
それに少女もまた顔を紅くして…
「わかった!!お兄さんっ もしかしておカマさんや――――!!うっひゃー!初めて見た〜!」
センセイをずるっ、とこけさせた。
(あれ〜?さっき、確かに力を使ったハズなのに…全然聞いてない………?)
少女、名を佐倉蜜柑。
友達を追ってアリス学園まで上京して来た。年恰好から小学生。
アリス学園入学希望。
「入れてあげるよ。アリス学園に。勿論ちょっとしたテストを受けてもらうと思うけど…君なら多分大丈夫♡」
仮入学決定。
「うそっっ 何で!?だましてる?!」
「ホ〜ントホント♡いい反応するね〜」
上京土産の饅頭を食べながらすっかり意気投合した二人。
「でもウチ天才と違うよ!?」
「ああ。世間的にはそういう事になってるけどね♡「アリス」の正確の意味は“天才”じゃなくて“天賦の才能”が本当の意味。この学校はそれぞれの個性的な“天賦の才能”の持ち主が集まった究極の一芸入学学校ってとこかな♡」
(究極の一芸入学の学校…?)
「…ウチにもその“てんぷの才能”があるってこと?」
「メイビ〜オフコ〜ス♡うっふっふ♡かくいう僕にもネ」
「えーっ!!うそうそうそっっ、どんなん!?」
みしてっ!とぴょンぴょんはねる蜜柑に、上機嫌になった先生が自分のアリスをヒントだけ教えようとした。その時だった。
_