願いを流れ星に込めて

□最終夜
1ページ/8ページ




「星海…?」

暗がりの中で久遠時は呟いた。
かつて愛でた籠の中の鳥の名を。
そして…今愛でている鳥にそっくりな鳥の名を。

「……気のせいか…?」

愛しくて、気が触れたか。
私を、呼んだか?星海。
星空に問えば、返事が返ってくるかと思ったけれど、静まった部屋には何の変化もなかった。



ドォォオン
派手な爆発音に初等部B組の皆は手近な所に伏せた。

「凄まじいな…」

「この部屋も綺麗さっぱり消し去ると後々に便利でしょう?」

「…つれない反応をしてくれるな、星海」

「ふふ。私は、今は母として戦っているものですから負けるわけにはいきませんので」

「殺戮女神…か」

見れば見るほどそっくりだな。

「欲しい」

びくっ
ボスの舐めるような視線を受けて千悠は竦んだ。

「…」

それを棗が庇うように、千悠を後ろ手にまわす。

「残念ながらナイト付きですから…奪うのは難しいですよ?」

「そのようだ…ね」

ドォォン
また爆発が起こる。
星海は破片が子供たちのところまで飛ばないように結界を張った。

「今日は積極的な君が見れて嬉しいよ」

「如何わしい言い方はやめてもらえますか、ボス」

「ふ…」

わざとだ、とわかっていても反抗する態度が出てしまう星海をからかうのは面白い。

「まぁ…幸い君にはナイトがいないようだからね」

絶対に、私の元においておくつもりだが?

「私は男運が悪いものですか、らっ!」

「うわっ…っ」

ボス側に結界を張っている男をアリスで意識不明にさせる。

「……そうだね……私の前のあの男だって。君にかかれば男運の悪い賜物だろう?」

「………っ」

「殺戮女神に教えてあげたかい?星海。父親を」

誰だか。

「…千悠」

「お母さんっ!」

こっち見たら…。
背を向けたら…っ!

「だめっっ!」

にや、とボスが笑うのが千悠に見えた。

ドォォオンッッッ

「きゃあぁっ!」

どさっ
爆音とともに星海は倒れ、体のあちこちに裂傷が走った。

「…お母さんっ!」

「こっちにきちゃ駄目!」

それがボスの狙いなんだからっ!千悠までこちらに来てはいけない!

「千悠っ!」

「いやっ、棗…っ!」

放して…。
やっと会えた私の家族が。
お母さんが。
血を流して、倒れてるっていうのに。
私が何もできないなんて。

「『放してっ!』」

ばちんっ
棗の腕がはじかれたように千悠の体から離れる。

「ダメよっ…!」

今のあなたがアリスを使ったら…っ!
あなたは…アリスを失ってしまう。
折角心通わせた棗君と一緒にいられなくなってしまう。
みんなと、あなたの仲間ともう会えなくなってしまう。

「『千悠!アリスを…っ!使わないで!』」

「『お母さんもみんなも学園に帰らせて!』」

オ・ネ・ガ・イ・!

「させるかっ!」

「「「「お前(あんた)(テメェ)は黙ってろ(て)(な)!!」」」」

星海と千悠以外の、学園側のアリスが一斉にZ側を襲った。
そして、Z側が反撃するまもなく、千悠がテレポートを行った。



_
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ